ウインカーは意図的なコミュニケーション手段だ
そもそもブレーキランプはドライバーが意識的にしなくてもブレーキペダルを踏めば、連動して点灯するようになっている。一方で、ウインカーについてはそのタイミングを含めてドライバーに完全に任せられている。
つまりウインカーはドライバー同士のコミュニケーション手段として捉えることができる。冒頭で記したように交差点を曲がる場合には30m手前でウインカーを作動させるのがルールではあるが、状況によってはもっと早めに出したほうが後方車両に動きを伝えることができる。そうした心遣いができることがスマートなドライバーといえるだろう。
逆に、先行するクルマがブレーキをかけてしばらくしてからウインカーを出したからといって先行するクルマを非難するような気持ちになるのもおかしな話だ。
ブレーキとウインカーのタイミングがうまく合っていればスマートではあるが、公道を走っている限りは先行するクルマがどのような動きをするのかを予想しながら安全に走る必要がある。ブレーキランプが点灯したならば、減速して曲がるのか、停止するのか、いずれの挙動をとっても対応できるよう運転しなければならない。
「ブレーキかけてからウインカーを出すドライバーは迷惑だ」などと思ってしまうことは、自らを安全に柔軟に対応できないドライバーと言ってしまっているようなものだ。ブレーキをかけるタイミングとウインカーを出すタイミングを合わせることは明確なルールではないからだ。
余談だが、市街地を走行しているときに30mの目安になるのが電柱だ。その立っている間隔は約30mとなっている。また、信号のない交差点(横断歩道がある場合)の手前には2個のひし形の道路標示が書かれていることが多い。このひし形は1個目が50m手前、2個目が30m手前に書かれている。こうして30mという距離感を身についておくことも、正しいウインカー操作には役立つはずだ。