ぶつけても通知せずに修理! アウトバーンありきの高額整備内容! レーシングドライバー驚愕の輸入ディーラーのひどい対応【その1】 (1/2ページ)

納得のいかない理由に高額請求

 レーシングドライバーであり、テストドライバーであり、自動車評論家としての仕事もしていると、知人などからクルマに関する相談をよく受ける。とくに多いのは整備や故障などに関する相談なのだが、今回は正規ディーラーで受けた信じ難い対応のいくつかを実話ベースで紹介しよう。

 まずは15年ほど前の話。某有名ドイツメーカーB社のCセグメントセダンを新車で購入した知人女性F子さんからの相談。3年目の初めての車検をディーラーで受けるため見積もりを頼んだところ、整備費用として60万円が必要という見積もり書が届いたという。見積もり書を見せてもらうと、ブレーキディスク、ブレーキパッド、ブレーキキャリパーの交換(もちろんブレーキフルードも)、リヤデファレンシャルの交換と信じ難い内容が記されていた。

 何かの間違いではないかと思いディーラーに問い合わせすると、アウトバーンを200km/h以上で走る性能を維持するためにルーティンで決められている整備内容だという。たしかにドイツではそうなのだろう。こうした部品の徹底した交換、整備は距離や経過時間などで事細かに決められていて、それを徹底して守って維持していけば何十万キロでも安心して新車時の性能を保てる。ドイツのタクシーなどは10万キロ毎にエンジン、ミッションを交換。それまでにサスペンションのブッシュやブレーキまわりなど一定距離毎に交換している。ドイツでタクシーに乗ると走行距離計が50〜60万キロを示しているのがザラで、それなのにアウトバーンを快適に安心して乗っていられるのに驚かされるが、それはそうした整備ルーティンをきちんと守っているからこそ可能となる。

 だが、知人女性は東京都内在住で年間走行距離は数千キロ。そんな彼女に杓子定規の整備を押し付けるのは誠意があるとはいえない。

 ディーラーマンはけして強制ではないので必要な整備を選別してもいいですというので、ブレーキディスクやキャリパーの交換、デファレンシャル交換など常識的に大丈夫なものはどんどん省き、7〜8万円の整備内容で落ち着いた。それを一般の女性ユーザーに求めるのは無理な話で、知らずに言われるままの整備額を払ってしまうユーザーも多いと聞いた。

 次は知人女性K美さん。やはりドイツのプレミアムブランドA社のセダンを新車で購入したが、1年もたたないうちにトランスミッション(AT)に不調をきたしディーラーに持ち込んだところ「有償でのトランスミッション交換」と言われたという。新車から1年以内なら通常は保証で交換されるべきものだが、故障の仕方が「異常な使用が原因」と思われるため有償交換だと告げられたそうだ。そこでディーラーマンに問い合わせたが、不調の原因が分からず、不具合も再現できていないが、オーナーが何らかの処置を訴えているるため交換するしかなく、異常はないので補償がきかないという。

 K美さんのお宅は車庫が急坂路の置くにあり、ハンドルをフルロックまで切り込んでバックしないと入庫させられない。そこで起こる不具合症状なのだと説明したが、ディーラー側は現地での再現を試みることなく再現不能と評価してしまったようだ。K美さんにはクルマとしての完成度が低いようなので他メーカーへの乗り換えを進言した。ディーラーが故障はないと評価しているなら下取りに不利な状況ではないからだ。しかし、長年A社のクルマを乗り継いで愛用してきていたK美さんは納得がいかない様子だった。

※画像はすべてイメージ


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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