シャープなリヤデザインを取り入れるためだった
じつは新型ハリアーが登場したとき、開発責任者にその点を伺ったことがあるのだが、ある意味、想像どおりの答えが返ってきた。
つまり、新型ハリアーは横一直線のシャープなテールランプありきのリヤデザインであり、もしそこに保安基準を満たす(オレンジ色の)ウインカーを組み入れたとしたら、それが成立しないからである。なんとも、トヨタらしくない!? チャレンジングな話だが、それに踏み切ったのはもちろん理由がある。
振り返れば、先代のハリアーは日本専用車。日本で走る日本人のための、それこそ高級ホテルのエントランスにも似合う、クーペシルエットを持つ流麗なスタイリングと、トヨタ上級サルーンに匹敵する乗り味が魅力で絶大なる人気を得たクロスオーバーSUVだった。
が、2020年に登場した4代目ハリアーは、北米、アジアなどで販売されるグローバルモデルへと変貌。そこで従来価値を飛び越えた、世界で勝負できる、クロスオーバーSUVのジャンルにとらわれないエモーショナルなデザインが求められ、あえて、非点灯時には目立たないリヤウインカーを採用し(日本では保安基準でオレンジ色にしなければならないのも要因だろう)、すっきりシャープなリヤデザインを取り入れたということだ。
確かに、リヤコンビランプ左右が、保安基準によってもっと厚みが増し、ウインカーに要求されるオレンジ色に光らせるとしたら、せっかくの赤一色のシャープなデザインも台無し……なのかもしれない。
結果、後続車から見やすい、見やすくない、違和感の議論はともかく、こうして多くのハリアーファン、クルマ好きの間で、この「ハリアーリヤウインカー問題」が話題になっていること自体、新型ハリアーの話題性のひとつ!? として成功している、とも言えそうなのである(開発陣は賛否両論あることを承知で世に送り出したという)。
ただ、新型ハリアーのオーナーでどうしてもリヤウインカーの位置が気に入らないという人もいるようで(点灯時、自身で直接見ることはないのだが)、アフターマーケットパーツで、横一直線のリヤコンビランプ左右にウインカーを移設できるアイテムが販売されているようだ。もし、横一直線のリヤコンビランプ左右がオレンジ~イエローに光るウインカーを備えた80系新型ハリアーを見かけたとしたら、かなりこだわりあるオーナーが乗るハリアーだと思っていい。