納期遅延を嫌がる人のために登録済み未使用車を用意することも
たとえば、アメリカでは商談を進め、値引きなどの条件で折り合いが付き契約を結ぶと、購入した新車をそのまま乗って帰ることができる。いままで乗っていたクルマから、その場でセールスマンなどディーラースタッフにも手伝ってもらいながら、荷物を新車に移し変えるのだが、日本人にとっては不思議な光景に映るとのこと。これは、アメリカではディーラーが持つ在庫車から買うのが大原則なため。
わかりやすくいえば、日本で自転車専売店やホームセンターなどへ行き、“ママチャリ”など一般的な自転車を購入する場合には、そこに置いてある展示車から選んで購入する人が大半なはず。アメリカにおける新車購入は、感覚的には日本での自転車購入に近い。そのため、アメリカのディーラーは広大な敷地に在庫車を多く展示している所が大半。在庫数が多いということは選択肢が多いことになり、お客もたくさんくるので、新車がよく売れることになるのである。
新車購入時に公道を走ることができるように登録手続きはするものの、ライセンスプレートは後日届けられることになり、南カリフォルニアでは過去には一定期間ライセンスプレートが届くまでは、プレートなしでも公道を走ることができたのだが、いまは暫定プレートのようなものをつけて走行しているようだ。
ところ変わって日本は、受注生産が大原則。とはいうものの、日産やホンダはディーラー在庫車販売がメインになっていたりするが、“ジャストインタイム”で、ディーラーが在庫をほぼ持たないトヨタや、その他のメーカーでも大ヒットモデルともなれば、深刻な納期遅延となることは珍しくない。
そのような状況を反映したわけではないが、いまどきは“なんちゃって新車”が多数流通している。その代表例が登録(軽は届け出)済み未使用中古車である。おもに、ライバルとの販売競争において、販売実績の上積みをはかる“調整弁”として、ナンバープレートのついていない在庫車を、ディーラー名義などで、“自社登録(軽は届け出)”することが、軽自動車ではとくに顕著なのだが、そのような自社登録(軽は届け出)車両が中古車市場に“未使用中古車”として流通するのである。
新車で購入した場合と比べ、明らかに買い得感の高い販売価格にするために、自社登録(軽は届け出)してから半年ほど“寝かして”から流通させるのが一般的なので、店頭に並ぶころは“最新モデル”とはならず、改良前モデルとなることも珍しくない。
ただ、新車で購入するための商談で引き出せる値引きよりは、買い得感が高まるのは確か。しかし、未使用中古車を販売する業者の多くは、中古車となるためローン金利が高くなっているので、「ローンを使って購入するなら新車のほうが買い得」となっている。ただし、いわゆるディーラーローンと呼ばれる、新車購入向けのローン並みに金利の低いローンを用意する業者も存在する。