たとえ5分でも「車内に子供」を残すのは狂気の沙汰! 「エアコンオン」でも絶対にやめるべき理由 (2/2ページ)

幼児が取り残されていないか検知できるシステムの開発も!

 そして、もし自分でチャイルドシートのベルトやシートベルトを外せる子供だったとしたら、保護者を探そうと勝手に車外に出て、事故や事件に巻き込まれる可能性もあります。

 さらに、自動車盗難や車上荒らし、連れ去りなどの犯罪に巻き込まれるリスクも忘れちゃいけません。子供だけで車内にいる状況は、こうした犯罪者にとっては好都合。建物の裏側、立体駐車場といった人目につきにくい駐車場であれば、なおさらリスクは高まります。

 こうしたさまざまな理由から、たとえ5分だったとしても、子供を車内に取り残すことは絶対にNG。日本ではパチンコ店が「子供の車内放置撲滅キャンペーン」として、子供連れでの来店を断る期間を設けていたり、JAFなどが車内温度上昇の危険性を実験でレポートし、危険性をアピールしたりしています。

 ただ、死亡事故が後を絶たない原因の根底には、やはり子育ての大変さが軽減されないという大きな問題があると考えます。夫婦のどちらかに家事・育児の負担が大きくのしかかってしまうと、車内に取り残してはいけないとわかっていても、「どうしようもなかった」「やらざるを得なかった」という状況に追い込まれている実情も浮き彫りになってきます。買い物の最中に子供を見守ってくれたり、代わりに買い物をしてくれたり、子供を車内に置き去りにしなくてもいい育児環境を構築することも、子供の車内放置撲滅には必要なことだと考えます。

 そして自動車メーカー側としても、この問題をスルーしているわけではなく、日本と同じように社会問題となっている欧州では、クルマの安全性能評価試験「ユーロNCAP」において、2022年から幼児置き去り検知機能が試験対象に追加される見込みとのこと。生体を検知できる独自のレーザーセンサーを活用して、車内に幼児が取り残されていないかどうかを検知できるシステムなどが開発されており、欧州の自動車メーカーが採用することが予想されています。

 どんなに大変でも、時間がかかってしまっても、保護者として子供の命より優先すべきことは1つもないはず。何があろうと、クルマを降りるときには子供も一緒に連れて行くこと。これを今一度、徹底するようにしたいですね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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