電動化時代のいまこそ「売り時」じゃないの? 三菱i-MiEVが消えたワケ (2/2ページ)

パワートレインの大幅改良があれば違う未来が待っていたかも

 そもそも軽自動車の電気自動車という商品企画は、街乗りコミューターという位置づけと捉えるべきで、航続距離を云々することはナンセンスともいえる。航続距離についてメディアがあれこれ指摘したことも、アイミーブに対して実用性がないというイメージを強くしたという部分は否めない。

 その意味では、2011年に登場したバッテリー総電力量10.5kWhのMグレードは、軽自動車の電気自動車というアイミーブ本来のキャラクターを際立たせる、割り切った商品企画だった。それでも航続距離はJC08モードで120kmを確保、繰り返し充電でも傷みづらいSCiB電池を積んでいたこともあり、メディアやユーザーが電動モビリティの本質をわかっていればもっと評価されたことだろう。

 そうしたアイミーブのキャラクターをスポイルしてしまったのが2018年の改良だ。歩行者保護の法規対応のためにフロントバンパーを伸ばすことになり、軽自動車から登録車になってしまったのだ。合わせて、このときに10.5kWh仕様がカタログ落ちした。この際に、バッテリー総電力量を増やすなどしていれば、商品力も向上したはずだが、電動パワートレインについては最初から最後まで基本的には変更がなかった。

 結果論になるが、日産リーフ(初代モデル)がバッテリーなど電動ユニットについては何度もアップデートすることで商品力を高め、ある程度ユーザーを増やしていったのと比べると対照的だ。もし、アイミーブがバッテリー搭載量を増やすなど大幅なアップデートを実施していれば、その評価は変わっていたことだろう。

 いずれにしても、アイミーブのベースとなったアイがデビューしたのは2006年だ。そのスタイリングは、15年経って見ても新鮮さを保っているという見方は多くの賛同を得られるのではないだろうか。この未来的なシルエットの中身が確実にアップデートされていれば、アイミーブはまた違った歴史を歩んでいたかもしれない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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