現在はステランティスのブランドになっている
それはさておき、本邦においてオペルのブランドが飛躍的に高まったのは1993年のことだ。それまでフォルクスワーゲンを中心に扱っていたヤナセがオペルの輸入権を得たことで、メイン商品として扱うようになったのだ。ヤナセの持つ信頼性と、ドイツ車ブランドというバリューが重なり合うことで、そのブランド価値は高まり、一時期は年間4万台近い販売台数を誇ったこともあった。
そうはいってもオペルはGMの世界戦略における、ひとつのブランドといった位置づけであり、日本市場がドイツ車に抱くイメージとのギャップは少なからずあったのも事実。それにより徐々に販売台数を減らしていった。
また、2000年に輸入権が日本ゼネラルモーターズに移管したことでヤナセによるオペルの取り扱いが減ったこともブランドイメージを大きく下げる一因となった。結果として2006年にオペルは日本市場から撤退することになる。
そんなオペル、現在はステランティス傘下のブランドとなっている。
その経緯をかいつまむと、2017年にオペルは当時のPSA(プジョー・シトロエンなどのブランドを持つグループ)によって買収されている。その後、オペルの各モデルは順次PSAとアーキテクチャを共通化するとアナウンスされた。
その先陣を切ってオペルの主力モデルであるコルサがプジョー208とメカニズムやプラットフォームを共有化してフルモデルチェンジを果たしている。そのほか、日本でも人気のスライドドア車であるプジョー・リフター、シトロエン・ベルランゴの姉妹車としてオペル・コンボライフも生まれている。その段階で、日本への再上陸がPSAからアナウンスされた。
その後、PSAとFCA(フィアット、クライスラーなどのブランドを持つグループ)は、お互いに出資して「ステランティス」という一大グループとなった。それが2021年1月のことである。そのため、現在オペルはステランティス傘下のブランドといった位置づけになっている。
そのため、オペルのラインアップがどのように変化していくか予想するのは難しい。プジョーやシトロエンとアーキテクチャを共通するモデルだけでなく、クライスラー系のアーキテクチャを利用する可能性も秘めているからだ。
しかし、うまくいけば昔日の、フルラインアップ・メーカーであったというオペルのブランド価値は、ステランティスのリソースを活用することで蘇るかもしれない。