精度はなんと25cm! 自動運転技術に必須の「高精度三次元地図」とは

各所の情報連携があってこそ魅力が最大限発揮する

 日産自動車が、スカイラインに搭載したプロパイロット2.0のハンズフリー走行の実現以降、高精度三次元地図が自動運転へ向けた技術要素として注目されるようになった。現在国内で実用化されている三次元高精度地図は、高速道路や自動車専用道路を中心に、2021年3月末時点で3万1777kmに達している。

 従来の運転支援機能の進化にはレーダーやカメラ、あるいはライダーなど、車外の障害物などを検知する機器が重視され、搭載されてきたが、三次元高精度地図は、道路そのものを精密に認識するための素材だ。

 経路を検索する点では、すでにカーナビゲーションやスマートフォンなどでも地図が重要であるのは間違いなく、確実な道案内で目的地を目指すことができる。しかし、自動運転の実現となると、単に道筋がわかるだけでなく、その道路が1車線なのか複数車線なのか、また、そうした道路で自分のクルマがどの車線を走行しているのかを認識できなければならない。単に道順を追うだけでは不十分なのだ。

 そこで、三次元高精度地図の充実が求められる。日本が政府の主導により各自動車メーカーなどと協力しながら標準化を進めた高精度三次元地図の場合、精度は25cmということなので、これならば車線を特定できる。どの車線を走っているかを確認できることに加え、車線変更にも適応できる。

 当然ながら、道路は舗装工事やバイパスなどの追加、あるいは道筋の変更なども実施されるので、それらの情報は更新されていくことになる。ただし、現在ではまだ更新の時期に間が出る場合があり、たとえばプロパイロット2.0の場合、レベル2という運転支援の水準であることもあり、道路情報が確定できていない区間については、一時的に運転者がハンドル操作を行って進路を保つことになる。

 以上のように、高精度三次元地図が出来上がればそれで済むのではなく、道路は、交通事故など一時的な通行止めも含め何らかの理由で作成された地図情報と異なる状況が生じる場合がある。そのため交通情報や、工事予定などを含めた、管轄の相互での情報の連携が不可欠であり、それを素早く地図情報のなかへ修正として織り込む機能も重要になる。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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