ハンドル位置が違ってもシフトは共通パターンは変わらない
では、メーカーごとになんらかのポリシーがあるかといえば、それも微妙だ。結論をいってしまえば、MTのシフトパターンには明確な理由はないというのが、多くのメーカーの見解だ。
とはいえ、オーソドックスな縦置き5速MTではトランスミッション内でシフトフォークによって動かされ、歯車をメインシャフトに固定することで変速を担うスリーブという部品が5速とRを切り替える設計のユニットもある。
その構造を見ると、直感的に5速の下にRを置くというのは自然な配置と感じることもあるが、それが全世界で共通の設計というわけではないのは、ご想像の通り。
同じスバル車であってもアイシン製のMTを積むBRZではRは1速の左隣にあるが、すでに生産終了となっているWRX STIの富士機械製6速MTでは6速の右側にRがあった。
メーカーのポリシーというよりもトランスミッションサプライヤーの設計がシフトパターンに与える影響も無視できないという証拠のひとつだ。
そう思えば、設計とシフトパターンが無関係というわけではなさそうだ。
それにしても面白いのは、シフトパターンというのはハンドル位置が左右どちらであろうと変わらないこと。もしドライバーに近い側に1速を置くという考え方があれば、ハンドル位置によって左右対称にシフトパターンを変えても良さそうなものだが、そうした発想は広まらなかった。
日本ではウインカーレバーを右側に置くなど操作系が独自の進化を遂げたなかで、シフトパターンは左ハンドルのそれをそのまま受け継いだのは、ドライバーの慣れも含めて、そこに合理性があったからといえそうだ。