日本のレースシーンは他の国と比べてもハイレベル
さらに、ドライバーの顔ぶれについても、世界各国のミドルフォーミュラで活躍してきた若手ドライバーを中心に構成されるFIA-F2に対して、スーパーフォーミュラはミドルフォーミュラで活躍してきた若手ドライバーに加えて、前述のとおり、F1やスーパーフォーミュラなど上級フォーミュラの経験の豊富なベテランが集結している。新型コロナウイルスの影響により、外国人ドライバーの参戦が少なくなっているとはいえ、スーパーフォーミュラも充実したラインアップと言えるだろう。
それゆえに、日本人ドライバーとしては、スーパーフォーミュラからF1へステップアップした前例はないが、アンドレ・ロッテラーやストフェル・バンドーン、近年ではピエール・ガスリーやピエトロ・フィッティバルディなど、数多くの外国人ドライバーがスーパーフォーミュラを経てF1へ登り詰めたことも、スーパーフォーミュラのレベルの高さを証明するエピソードだと言っていい。
山本尚貴が初めてスーパーフォーミュラのタイトルを獲得した2013年はホンダがF1に参戦していなかった時期であり、2度目のタイトルを獲得した2018年は29歳とF1に参戦するには年齢を重ねすぎていた。
2015年および2017年と2度にわたってチャンピオン経験を持つ石浦宏明、2016年のチャンピオンである国本雄資にいたっても、彼をサポートしていたトヨタはすでにF1での活動を終えていた。もし、彼らが初めてタイトルを獲得した時期に、彼らをサポートしていたメーカーがF1に参戦していれば、彼ら日本人ドライバーたちもF1へ参戦するチャンスが少なからずあったに違いない。
このようにスーパーフォーミュラは世界的にもレベルの高い上級フォーミュラであり、ミドルフォーミュラのスーパーフォーミュラ・ライツもFIA-F3に引けをとらないシリーズになっている。
GTレースやツーリングカーレースに目を向けても、スーパーGTのように自動車メーカーやタイヤメーカーが競合するカテゴリーは、世界的にも珍しく、GT500クラスはまさに“世界最速のGTカーレース”であり、車種バリエーションの多彩なGT300クラスは“世界最大の激戦区”と言えるだろう。
つまり、日本のレースシーンは他の国と比べても十分にハイレベルで、それゆえに数多くの外国人ドライバーが来日しているのである。