けっして方向転換をしたわけではない
今回の発表を受けて、トヨタ本社関係者に直接確認したところ「基本的に、これまでのトヨタの路線を継承しただけだ」とあっさりとした答えだった。
確かに、トヨタは2019年6月7日に「EVの普及を目指して」という記者会見を行っており、そのなかで、低速な歩行領域EV、超小型EV、そして小型・中型EVという大きく3つの分野で今後、グローバルで事業展開すると明言している。
それ以前は、EVは移動距離が少ないシティコミュータを主体とし、都市間移動など長距離移動のフル電動車はFCVが担うとしてきたが、中国でのEV施策や欧州でのCO2規制強化によるCAFE(企業毎平均燃費)への対応から、小型・中型EVの必要性を強調していた。
また、小型・中型EVについては、2020年12月に欧州トヨタがEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を発表している。今回発表された「bZ4X」はe-TNGAを活用しており、e-TNGAは前モーター、後モーター、または前後モーターによる駆動方式の変更や、電池パック容量の各種設定などを想定しており、これと同じような設計思想を持つテスラや、ホンダが協業するGMのEVプラットフォームの「アルティウム」のように、多モデル化の道筋がしっかりと描けているといえる。
時代の流れを察知したトヨタがこれから、日本を含めた各国や各地域の社会状況を十分に加味しながら、さまざまな量産型EVを市場導入することになる。