単なる「デザイン」の流行廃りじゃなかった! かつて流行った「4灯ヘッドライト」が消えたワケ (2/2ページ)

形状の自由度が高まったことで丸目ヘッドライトも増えている

 そうしたテクノロジーが当たり前になっていることを考えると、ハイビームとロービームの同時点灯が可能という4灯ヘッドライトのメリットはなくなっている。むしろ、最新のLEDヘッドライトは、かつての4灯が目指した広い照射範囲という狙いを受け継いだ正常進化といえるのかもしれない

 さらにLEDヘッドライトでは形状の自由度も高く、丸目、角目といったかつてヘッドライトが規格品だった時代とは異なるデザイン性を有している。あえてヘッドライトをわける必要もなく、4灯フェイスというのは完全に過去の意匠になったといえるだろう。

 とはいえ、レトロ調のトレンドというのは確実にあり、LEDヘッドライトながらクラシカルな丸目フェイスとしているクルマは増えている印象がある。輸入車でいえばBMW MINIがその代表格であるし、新しくなったFIAT500も同様だ。国産でもホンダのN-ONEやHonda eは丸目2灯の雰囲気をうまく再現している。

 その意味では、リバイバルデザインとして4灯ヘッドライトが、現在の技術によって蘇る可能性はゼロではないだろう。たとえば、ダッジ・チャレンジャーのフロントマスクはそうしたトレンドが生まれつつあることを感じさせる。

 また、純粋な意味では4灯ヘッドライトとは言いづらいかもしれないが、三菱のダイナミックシールドフェイスに共通する複数の四角いライトをバンパーに埋め込むという意匠も、いま風にアレンジした4灯マスクといえなくもない。

 いずれにしても、かつての4灯ヘッドライトは照射範囲を広くするためのアイディアであり、現在はLEDヘッドライトによってそうした狙いが実現できているため、ハイビームとロービームをわける意味はなく、かつてと同じような4灯フェイクが復活することはないだろう。ただし、リバイバルブームの中で、スタイリングやブランドのアイデンティティとして4灯フェイスが増えてくる可能性は否定できない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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