初めてのサーキット走行でもドラテクを身につけることができる
彼らの多くはサーキット走行初体験だという。2Lターボ4WDで400馬力という高性能を手に入れたのに、その威力を体験する機会がなかったということでサーキット走行初体験で自分の購入したクルマの性能を正しく知る事に胸を躍らせてやってくるのだ。
初めてサーキットにコースインすると、どこをどんな速度で走ったらいいのか、まったくわからないという。ライン取りやコーナリング速度、ブレーキングポイントなどを自分で見出だすには相当な知識とキャリアが求められる。
そこで、走行はまずリード&フォローというプログラムから始まる。インストラクターがドライブする先導車について走り、ラインやブレーキングポイント、おおよその速度管理などを学ぶのだ。
先日開催された2Lターボ4WD走行会には自動車メディア業界に入って3カ月という若手女子編集部員が体験参加しリポートを行った。彼女、運転免許はATの限定解除を所有しているもののマイカーはなし。月に一度くらいレンタカーでドライブする程度の運転キャリアしかない。もちろんモータースポーツに関する知識は皆無で、アウト・イン・アウトもスローイン・ファストアウトも知らない。
A 35 AMGを借り出しての体験参加企画が決まり、不安が大きいのでSIMゲームである「グランツーリスモ」での富士スピードウェイ走行体験をすすめたところ、ゲーム内でA 45 AMGを購入して練習してきたという。
SIMゲームで練習をすると、コースの右左は覚えられるものの、ブレーキングポイントやコーナリング速度限界を正確に掴むのは難しい。しかし、コースの右左が分かったこと、ブレーキを送らせてコースアウトすると大変な事になることが理解できたことの有効性は大きく、彼女はドライビングポジションやブレーキングのコツを教わるだけでどんどん速くなり、全参加者のなかで中盤以上の速さで走ることができた。
人生で初めてのサーキット走行で、人生初めてのAMG車を操り、人生初の200km/hオーバーを体験した彼女が得たものは計り知れないほど大きなものとなったようだ。こうしたイベントに参加する意義の有用さが正しく証明されたといえるだろう。
今後も高性能車を思い切り走らせたいならサーキット走行するしかない。ただサーキット走行の基本はすべて自己責任。自分のミスでクラッシュすればもちろん自分で責任を負わなければならないし、他人のミスに巻き込まれて自分の車両が負ったダメージも、怪我も自分で負うしかない。サーキットではクルマを運転する以上、常に責任が重くのしかかることもしっかり学ぶことができる。不測の事態に対処するために、サーキット走行でも有効な保険に加入することが重要になっている。
サーキット走行を体験すれば、ハイスピードでクルマを走らせることの難しさや危険性の高さを知り、その責任の大きさと一般道で爆走することの愚かさに気付かせてくれるのだ。