いまどきのクルマが「重くなった」は思い込みだった! 安全装備や電子デバイスが充実しても「変わらない」驚異的なメーカーの努力とは (2/2ページ)

ミニバンやSUVなど車重のあるクルマが増えているのも事実

 もちろん、同じ車名なのに車格が異なったり、コンセプトが変わったりしたことで重くなったクルマというのも存在する。

 たとえばホンダのスポーツフラッグシップであるNSXで言えば、初代はオールアルミボディで自然吸気V6エンジンだったこともあって、車両重量は1400kg前後。3.2リッターエンジンのNSX-Rに至っては1320kgと、いまのCセグメントばりの軽量モデルだった。

 しかし現行NSXは、3.5リッターV6ツインターボに3モーターハイブリッドを組み合わせるというハイブリッドスポーツカーになったことで、その重量は1800kgとかなり重くなっている。しかし、これはまったくコンセプトが異なったためであり、同じようなパワートレイン構成で作ったら500kg近く重くなったという話ではない。

 単純に比べられないが、ハイブリッドシステムを降ろした市販レースマシンである「NSX GT3」の重量は1240kgとなっている。カーボンカウルなので量産を考えると非現実的な部分もあるが、GT3マシンの数値を参考に安全装備や快適装備を足したと考えれば、初代NSXのようなコンセプトで自然吸気エンジン搭載車を作れば初代よりも軽くなる可能性は高いと容易に想像できる。

 たしかに、スライドドアのミニバンやタイヤの大きなSUVなど車重のあるクルマが増えているのは事実で、ファミリーユースで使われているクルマの平均重量を比較すれば重くなっているといえるかもしれいない。

 だが、同じようなカテゴリーのクルマで比較するとじつは重くなっていない。よく考えればわかるだろうが、これだけ燃費性能への要求が高まっている時代に、安易に車重を上げるなんてことはメーカーには許されないのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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