均一な水準での操作技術と法規の正しい理解を促すことができる
ところで高速道路教習では、3車線ある道路でもっとも左を走ることを基本とするキープレフトが、教習車両で守られていない場面に何度も出くわす。つまり、教官自身がキープレフトの意識の薄い証だ。そして後続車が渋滞する現場にも居合わせたことがある。
その体験が、運転免許証を取得したあと、3車線ある高速道路などで真ん中の車線を走り続けることを正当化し、それがあおり運転を誘発しているとも考えられる。
しかし法規に習熟したAIであれば、プログラムさえ正しく入力していれば、キープレフトを基本とし、そのうえで追い越しの際には右車線を走り、追い越し終えたら再びキープレフトで走行すべきという、基本中の基本を正確に教習することができるだろう。
教習で個人差というあいまいさをなくすうえで、均一な水準での操作技術と、法規の正しい理解を促すのにAIは役立つように思える。
また日本のように教習所で運転を習う習慣のない欧米と同等とまではいかなくても、教官の人件費が減ることにより取得費用の余計な負担を減らした運転免許証取得の権利が得られることにもつながり、クルマでの移動は普遍的な価値であるという概念が浸透するのではないか。
そして技術進化は、ときに現状の職場を奪うことも生じさせる。それはいまだけのことではなく、そういう歴史を人類は繰り返しているのである。