「ちょい乗り」なら十分な性能を持つ
また、個人向けには2022年以降に販売される予定だが、主婦などのクルマの主な使い勝手は、1日、1回の走行距離が15km未満という”ちょい乗り”が基本というデータもあり(買い物、送り迎えなどのケース)、そうなると、高速走行を含まないWLTCモードで150kmという一充電走行距離は、街乗り専用コミューターEVとして割り切れば、まったく問題にならないだろう(一充電で1週間は使える!?)。そう、大容量バッテリーを積むEVのような数百kmもの一充電走行距離は必要ないとも言えるのだ。
そこで忘れてはいけないのが、ミニマムなサイズ。自宅(会社)の駐車場に普通車に加え、もう1台のクルマが置きにくい状況でも、シーポッドのサイズなら何とかなるケースもある。日本の住宅事情、駐車事情からすれば、街乗り専用コミューターEVにとっての小ささは、極めて大きな武器になるということだ。
トヨタの説明によれば、プリウス1台の駐車スペースに、横置きにしてシーポッドが2台置けるし、自宅の駐車スペースでは、トヨタ・アルファードの横にトヨタ・ヤリスが置けるスペースがあれば、ヤリスの代わりにシーポッドを止めることで、ヤリスがあったときには置けなかった自転車を止めるスペースが生まれたりするのである。
ここで乗用定員2名にひっかかる人もいるはずだが、日本の乗用車の乗車人数平均は1.5人とも言われていて、そもそもセカンド、サードカーとしての使い方ならまったく問題なく、日常、助手席が荷物置き場なるような単身者にとっては定員2名でも十分ではないだろうか。少なくとも、夫婦2人、カップルで、雨風にさらされることなく乗れ、移動できるのだから。電気を食うヒーターレスとはいえ、消費電力の小さい快適温熱シートやマニュアルクーラーが完備されているから、暑い時期も寒い時期も快適だろう。
そして、これまでクルマが入れないような狭い路地の奥にある場所にも、排気ガスなしで入っていけることで、配達車として、配達するほうも受け取るほう双方にメリットがあるのも、超小型EV、シーポットの魅力であり(通販がさかんな時代の今はなおさらだろう)、クルマなしに生活できないような地域に住むシニアにとっても、サイズ的なおっくうさなしに使える、衝突軽減ブレーキはもちろん、高齢者の事故に多いアクセルの踏み間違いを抑制する機能なども備わるミニマムサイズのコミューターとして、大いに安全かつ快適に役立ってくれるに違いない。
価格は現時点で171万6000円となっているが、当然、シティコミューターEVはピュアEVだけに補助金があり、一般向けでは22万円と説明されているから車両価格として150万円程度で買える、軽自動車と変わらないリーズナブルさ、税金面の優遇も嬉しいポイントだ。シーポッドについて言えば、2022年以降の一般向け発売の段階では、クルマとして、EVとしての完成度、機能もさらに高まっている可能性があり、”ちょい乗り”EVコミューター時代の本格的な幕開けが予想されるから楽しみである。加えて、AC100V/1500コンセントの外部給電による災害時、停電時の非常用電源(車)になる安心、便利さも、お忘れなく!!