ガラガラなのに30km/h? 道路の「制限速度」決定の「根拠」とは (2/2ページ)

85パーセンタイル速度をもとに制限速度を決めている

 しかしながら、標識で示す制限速度と実勢がかけ離れていると感じる向きも多いことだろう。はたして制限速度の決定には科学的根拠はあるのだろうか。

 ここでキーワードとなるのが「85パーセンタイル速度」という言葉だ。

 85パーセンタイル速度を簡単に説明すると、一般ユーサーが自然に走った場合の速度を推定し、その下位85%の最高速度を基準とする考え方だ。上位15%にあたる飛ばし屋は除き、多くのドライバーが納得できる速度を数値化するのが85パーセンタイル速度である。

 ただし実際に制限速度を排して、リアルに実験することは難しく、あくまでモデル推定となってしまうという点は致し方ない。

 そして警察庁では、85パーセンタイル速度を指標としつつ、そこから10~15km/h程度低い数値を制限速度として設定しているという。もちろん、85パーセンタイル速度だけなく、交通事故リスクにつながる要素(車線数、市街地かどうか、中央分離帯の有無)なども考慮している。

 具体的にはモデル推定で52km/h程度であれば最高速度制限を40km/hとし、70km/h前後であれば60km/hにするといった具合だ。85パーセンタイル速度からすると制限速度はカラいような印象もあるが、実際には1km/hでも速度オーバー違反で捕まえるいう運用はしていない。暗黙の了解として85パーセンタイル速度を超えたときに速度違反として検挙するに適切な制限速度にしているという見方もできるだろう。

 <参考資料>
警察庁交通局
https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/regulation_wg/1/siryou4.pdf


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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