2020年の自動車総生産数は99万台に留まった
また、ブランド戦略も含めて、グループ企業としてのブランド管理の統一化が求められるようになった。具体的にはドイツのフォルクスワーゲングループにおける、ベントレーブランドの管理体制がある。結果として、ベントレーは生産効率を上げて多モデル化を行い、近年では世界中のセレブ向けの大量生産型の超高級車としてのポジションを確立している。
一方で、英国を自動車産業の生産拠点としてみると、年間生産総数は2019年は138万台、また2020年は新型コロナ感染症の影響で99万台となった。これは世界最大の中国の20分の1以下に過ぎず、また欧州内ではドイツ、スペイン、フランスに次ぐ4位に留まる。
さらには、2020年に実施された通称ブレグジットといわれるEU(欧州連合)からの離脱により、自動車に限らず海外企業にとって税制面を主体として英国内で事業を継続するためのメリットが大きく損なわれてしまった。そうした影響もあり、ホンダは2021年内に英国工場を恒久的に閉鎖する。
こうして歴史を振り返ってみると、そもそも英国の自動車産業はこじんまりとした独自性が強いものだったが、そこにグローバリゼーション(国際化)の大波が押し寄せ、英国自動車産業全体としての軌道修正が余儀なくされたといえる。
今後、英国自動車メーカーがどのように生き残っていくのか? 単なるブランドだけが、資本や投資の原理によって独り歩きし続けていくのか? 今後の動向を見守っていきたい。