GT300のスープラは「高級住宅ぐらいの値段」 ——見た目は市販のGRスープラ に似ているような感じなんですけど、市販モデルとの共通点はあるんでしょうか?
近藤氏: GT500のGRスープラはスケーリングしているので、ほとんど市販との共通点はないと思うんですけど、GT300はAピラーとルーフはベース車両を使っているので、純正のスチールを使っています。あとはドアノブとテールライト、あとトヨタのエンブレムも同じです。逆に言えば、それ以外の部分はすべて競技用の専用品になります。
Green BraveのGRスープラのリヤスタイリング 画像はこちら
——GT300にはいろんな車両が参戦していますが、GRスープラGTの武器はどこですか?
近藤氏: やっぱりコーナリングですね。コーナリング性能は他のマシンよりも高いと思うんですけど、2021年はBoP(性能調整)により車両重量が重くなっているので大変になってきました。それでも、ロール剛性やダウンウォースなど細部の改良で補おうとしています。
——GTスープラGTが得意なコースとしてはどこになるんでしょうか?
近藤氏: やっぱりテクニカルコースの岡山とかですかね。まだ走ったことはないんですけど、オートポリスとSUGOも合っていると思います。
グリット上のGreen BraveのGRスープラ 画像はこちら
——2021年は埼玉トヨペットGreen Braveの52号車に加えて、LM Corsaの60号車、Max Racingの244号車もレクサスRC F GT3からGRスープラGTにマシンをスイッチしましたが、同じクルマが3台になったことでやっぱりライバル心はありますか?
近藤氏: チーフスタッフとしては52号車だけで行きたかったんですけどね。「いいクルマができたなら共有したほうがいい」との社長の方針から他のチームへの供給がきまり、一気に3台になりましたが、やはり同じクルマなので闘争心は上がりますね。タイヤもうち(52号車)はブリヂストンですが、60号車はダンロップ、244号車はヨコハマとメーカーが違うので、遅れないようにしていかないといけないと思っています。
Green BraveのGRスープラのタイヤ 画像はこちら
——ちなみに、GT300クラスのGRスープラはおいくらなんですか?
近藤氏: 高いですよ。高級住宅ぐらいの値段はしますね。
——なるほど。やっぱり庶民には買えそうにないですね。ありがとうございました!
このようにGT300クラス規定で開発されたGRスープラGTも独自の開発が行われているレーシングカーで、そのフィーリングについて60号車を駆る吉本大樹選手は「剛性感があってしっかりしているし、ホイールベースが短いのでコーナリングが速い。RC F GT3はダウンフォースが優れていたので中高速コーナーでのバランスが良かったけれど、GRスープラはダウンフォースがあるうえに小さいコーナーも良く曲がる」とインプレッション。さらに244号車を駆る堤優威選手も「これまでレクサスRC F GT3やトヨタ86MCに乗ってきましたが、圧倒的にGRスープラはダウンフォースが良くてグリップしている」と評価が高い。
吉本大樹選手 画像はこちら
実際、開幕戦の岡山では予選Q1で244号車がA組、60号車がB組でトップタイムをマークしたほか、Q2では52号車が2番手タイムをマーク。さらに決勝でも52号車が3位で表彰台を獲得したほか、244号車が5位、60号車が8位につけたことは記憶に新しい。
Max RacingのGRスープラの走り 画像はこちら
60号車のエンジニアを務める小藤純一氏によれば「規定で変更ができないFIA-GT3と違って、GT300規定モデルは自分たちでパーツを作ってアップデートしていけるので速くなる」とのこと。このようにGRスープラGTは今度も進化が予想されているだけに、2021年のスーパーGTでもGT300クラスのリザルトを左右する一台として注目したい。