交通安全の願掛け的なアイテムも存在した
チューニングというと絶対的な速さが基準となりがちだけれど、愛車のカスタマイズというのは自分だけの一台にしたいという情熱がなによりもエネルギー源となっている。とはいえ、カスタマイズには時代によって流行り廃りがあり、誰もが同じようなパーツをつけていたことがあったりする。
そこで、いまではなぜ多くの人がその手のパーツをつけていたのか不思議に感じてしまうようなアイテムを4つピックアップ。流行した背景などを振り返ってみよう。
1)つり革
まずは、リヤバンパーにつり革を下げるというトレンドから。
もともとは静電気除去のためにリヤバンパーあたりから地面に接触するようにアースベルトを装着するというトレンドがあり、その発展形としてアールベルトのかわりに本物のつり革をぶら下がるという風に流行が移っていった。
なぜ、つり革だったのか、はっきりと理由は不明だが、1970年代の暴走族の間で箱乗り(窓から体を出して乗ること、非常に危険)をするために車内につり革を装備するというのが流行り、そこからつり革=かっこいいという風になっていったのだろう。廃れたとはいえ、旧車界隈では当時の雰囲気を演出するカスタムとして現在でも人気。つり革を模したドレスアップグッズを見つけることができる。
2)蹄鉄
つり革が列車やバスからの転用的ドレスアップだとすれば、クルマよりも古いモビリティである乗馬由来のドレスアップアイテムが蹄鉄だ。ご存知のように蹄鉄とは馬の蹄を保護するために取り付ける金属製の部品。クルマとはまったく関係ないように思えるが、この蹄鉄をフロントグリルなどに取り付けるというのは一時大流行した。
馬は障害物をよけることができる、すなわち蹄鉄は事故を避けることを想起させ、交通安全のお守り的なアイテムとして認知されたことにある。欧州では蹄鉄が魔除けとして知られており、玄関に蹄鉄を飾るという習慣もあった。現在でもジュエリーなどで蹄鉄をモチーフにしたものが多く見られるのも蹄鉄をラッキーアイテムとする文化が根付いているからだろう。
というわけで、いまでも蹄鉄をフロントグリルなどに装着しているクルマを見かけることもあるが、それには交通安全への思いが込められているというわけだ。