高級車にカスタムカーの定番! 「エアサス」って何?

空気の量を調整することで車高が簡単に変えられるメリットも!

 足まわりにはさまざまな形式があるが、そのひとつにエアサスペンションというものがある。その名の通り、スプリングやショックアブソーバーの代わりにベローズと呼ばれるゴム製の筒に空気を入れたものを使用するのが特徴だ。国産車ではシーマなどで採用されたが全体的にはあまりなく、輸入車では高級車でお馴染みの形式だったりする。また、国産の場合、社外のキットが販売されているので、カスタムのイメージが強いかもしれない。

 今一度、メリットとデメリットを整理してみると、まずメリットは空気が入ったボールを押してみるとわかるようにクッション性に優れることで、ふんわりとした乗り心地が得られるのは最大の魅力でもある。また、トラックでもよく使われているが、こちらは積荷に対して優しいからというのが理由だ。

 そのほか、空気の量を調整することで車高が簡単に変えられるのもエアサスのメリットで、ランドローバーなどのSUVに採用されている理由のひとつだ。ワゴンであれば荷物を積むときに車高を下げるという使い方もできる。

 また姿勢をフラットに保つこともできるので、重たい荷物を積んでもリヤ下がりにならないようにできたり、抑揚のある路面でもゆったりと姿勢を安定させて走ることができるなど、やはり高級車向けのサスペンションであると言っていい。

 このようなメリットを見ると、とてもいいもので、もっと広がっても良さそうな気がするが、広まらないのにはワケがある。一番は耐久性の問題で、空気を入れる筒はゴム製ということで、どうしても消耗してしまう。実際に、ここが破けると車高がペッチャンコになる。

 そのほか、エアポンプやタンク、配管、スイッチなど、構造は複雑なのでトラブルの可能性は高まる。そのほか、一部車種ではあるが、ジャッキアップを不用意にすると、ゴムが破けてしまうことがある。

 エアサスは消耗品と言い切る整備のプロもいるほどで、この点はなかなかユーザーの理解を得られない点ではある。エアサスのメリットは理解しているオーナーでも、エアサスが故障した場合には、一般的なコイルサスにする人はけっこういる。他グレードでその設定があれば流用できるし、コイルサスコンバージョンキットというのも売られていたりする。維持するのも余裕が必要ということで、高級車を中心に採用されているのも納得だ。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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