生産台数たった44台の超希少なマイクロバス!
2020年に創立100周年を迎えたマツダ。三輪トラックやコルク製品、削岩機などさまざまなものを手がけつつ、自動車でもロータリーエンジンに並々ならぬこだわりを持つメーカーとして、我が道を歩んできたメーカーと言っていい。そのロータリー自体、王道的なモデル以外にも、軽自動車のシャンテへの搭載を目論んでみたりなど、全車ロータリー化を目指していたフシもある。その表れのひとつが、マイクロバスのパークウェイへの搭載だ。
パークウェイの車名はけっこうなクルマ好きでないと知らないかもしれない。シャンテのように発売前に頓挫したのではなく、市販化されてはいるが、生産台数はたった44台と、日産ケンメリGT-Rやトヨタ2000GTも真っ青の希少台数となっている。
初代パークウェイが登場したのは1972年のこと。グレードはパークウェイ26と18があって、それぞれの数字は乗員数を示していた。ボディはマツダ製ではなく、架装メーカーの西日本車体工業が手がけたもので、グラスエリアを大きく取ったユニークなものだった。登場から2年後の1974年に加わったのが、パークウェイロータリー26だ。その名の通り、ロータリーエンジンを搭載したマイクロバスで、後にも先にも世界で唯一無二のロータリーバスとなる。ただし、パークウェイとは別に広島県庁に納入された13A型搭載の試作車があるにはある。
エンジンはルーチェなどに搭載された13B型を車種特性に合わせて最適化したもので、公害対策済みのAP(アンチポリューション)仕様。マツダの対策システムはリープスと呼ばれていたが、パークウェイにリープス3が採用されていたとされる(2との混合という説もあり)。
また、ミッションは4速マニュアルながら、エンジンとの間にはいわゆるクラッチではなく、流体継手のトルクグライドを採用して、スムースなフィーリングを実現していた。ただし、ロータリーの特性はそのままで、高回転型なのはマイクロバスにはマッチしなかったし、お馴染みの燃費の悪さもハンデとなった。さらに価格は当時のマイクロバスの2倍で、クーラーもオブションで別。しかもクーラーを付けると、別でレシプロエンジンを搭載してコンプレッサーを回すという、なんとも矛盾した方式だった。
これらの点はマツダもわかっていたはずで、それでもロータリーを搭載して発売したのは、前述した環境対策で世界に先んじていたから。現にアメリカの排ガス対策であるマスキー法を世界で初めてホンダがパスしたのは有名な話だが、それに続いたのはマツダのロータリーだった。ロータリーを積むことで“先進環境バス”として売り出したかったのだろうと思われる。
市販された44台のうち、現存するのは数台とされ、完調なものは国内になく、ドイツの博物館に展示されている。