かつてアメリカでは「SPT」と「STI」の差別化に難儀した
なぜ、アメリカだけは継続なのか? スバルのアメリカでの実情を知って疑問を持つSTIファンは多いだろう。WRX STIのことである。
日本では、EJ20 ファイナルエディションとして、その名の通り名機EJ20が使命を終えると同時にモデルラインアップからWRX STIの姿が”一時的に”消えている。正確に言えば、スバルのホームページ上では”販売終了”とある。2019年の東京モーターショーでコンセプトモデルとしてお披露目され、限定数555台は同年内で完売している。
ところが、視線をアメリカの移すと、WRX、WRX STI(北米ではSTIシリーズと表記)、さらにはS209という多彩なラインアップが存在する。
その理由は、アメリカにおけるSTIブランドの定着に向けたスバルの本気を示すことだ。
時代を振り返ってみると、スバルの北米法人であるスバル・オブ・アメリカがアメリカでSTIを正式販売したのは2000年代に入ってからだ。
当時から、筆者はさまざまな立場でアメリカでのスバルの事業戦略を間近で見てきた。
その上で、2000年代初頭から中盤の状況は、スバル・オブ・アメリカが独自に開発したディーラーオプションのSPT(スバル・パフォーマンス・チューニング)という、日本では聞き慣れない商品とSTIの差別化が難しい状況にあった。ディーラーにとっても、ユーザーにとっても、スバルの2つのスポーティブランドそれぞれをしっかり認識できていなかったのだ。