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「自動運転車」でレースをするほうがよほど簡単! レーシングドライバーから見た公道での自動運転の難しさとは (2/2ページ)

「自動運転車」でレースをするほうがよほど簡単! レーシングドライバーから見た公道での自動運転の難しさとは

自動運転はEVだけのものじゃない!

 ホンダ・レジェンドが世界初となる「レベル3」の自動運転システムを搭載し型式認定を受け、市販化されたと話題になっている。レベル3は「一定の条件下で機械に運転を任せ、ドライバーはスマホを見たりナビ画面を操作したりできる」というもの。複合条件として、いつでもドライバーは運転操作に復帰できなければならないこととなっている。まだまだクルマにすべてを任せてドライバーは居眠りしていても大丈夫という段階ではない。

 一方、北米では電気自動車(EV)テスラによる自動運転中の事故が頻発している。テスラのシステムは日本の運用基準で言えばレベル3の認可を得ておらず、完全に運転を任せていいとう領域には達していない。自動運転とEVは、同じ電気仕掛けという見方からかセットで考えられがちだが、実際はガソリンエンジン車でもハイブリッド車でもシステムの搭載は可能だ。電動ステアリングや電制スロットル(アクセル)、ブレーキバイワイヤー(電制ブレーキ)などが備わっていればセンサーとCPUの追加で自動運転化できるのだ。

 2015年にホンダが栃木プルービンググラウンドで開催した「メディア・ミーティング」では興味深い体験をさせてもらった。当時のホンダ・アコードにこうした自動運転アイテムを追加装備し、完全自動運転車を完成させて体験試乗をさせてくれていたのだ。

 コースは本田技術研究所・栃木プルービンググラウンド内のハンドリング路。ショートサーキットとワインディング路の要素を合わせた1周2km弱のコースだ。テストコースなだけに所々にバンプが設定され、また路面のミューも変化している。われわれプロドライバーでも高速で攻めるのは難しい。そこをアコードの完全自動運転車両が全開で走行する。ドライバーシートは完全無人で、体験試乗者は後席に乗せられた。何か異常が起こっても手も足も出せない状況だ。

 ゴーサインが出ると、アコードはスルスルとコースイン。すぐにフル加速してコーナーを攻め始める。無人の運転席ではステアリングホイールが右左に自動で動き、車両をコントロールしている。スリッピーな路面ではアンダーを出しそうになるが、ステアリングの切り増しとスロットルコントロールで難なく切り抜ける。120km/h以上出る高速コーナーではバンプで車体が跳ね、タイヤからは派手なスキール音が聞こえてくる。「本当に大丈夫か!?」と身構えたが、アコードは熟練ドライバーのようなコントロールで見事にクリアしていった。

 そんな体験試乗を何人も繰り返し安定して行っている。走行回数が増せばタイヤのグリップや内圧の変化による特性変化も起こっているはずだ。そうしたコンディション変化もフィードバック制御し、何事もないように、微塵もミスすることなく周回している。

 GPSを使ってコース上の位置を定め、センサーで車両状況をモニターしていて常時フィードバックしている。高速で走らせるのは、じつはデータプログラムが簡単なのだという。テストコースでは対向車もいないし、歩行者も交通ルールも存在しない。ただタイヤのグリップの最大値を引き出して最速で走れればいい。タイヤがバーストしたりスピンしそうな状況では通常装備のVSA(ビークルスタビリティアシスタンス)が機能して車両を安定化させるので問題ないという。

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