今では対向車だけでなく歩行者にも配慮した照射を行う
筆者は当時、ハロゲンライトを装着したドイツ車を日常的に運転しており、手動のオートレベライザーを積極的に使っていたので、「今後、HID化が進むと自動オートレベライザーは必須となる」と思っていた。
その後、量産車では欧州の高級車がハロゲンライトからHIDへシフトする動きが出てきて、それに応じて手動ではなく自動式レベライザーの普及が進み、欧州ではオートレベライザー義務化の動きにつながった。
日本でも、国土交通省が欧州など海外での動向を見ながら、2007年に道路運送車両法の一部改正のタイミングで、自動式の前照灯照射方向調整装置として、オートレベライザーを事実上、義務化している。
その後、皆さんもご存じのとおり、ヘッドライトはLED化が進んでいる。そうしたなかで、HIDにおける上下方向のレベルという限定的な調整にとどまらず、LEDライトの多数化によってステアリング操作による進行方向の左右に対する照射調整を行えるようになった。
さらに、欧州・新車アセスメント(ユーロNCAP)で高度運転支援システム(ADAS)の評価項目が増えていくなかで、ハイビームからロービームへの切り替えになっても走行状況に最適な照射範囲を確保するシステムの開発が欧州メーカーでは積極的に進んできた。日本でもNCAPにおけるADAS強化のなかで、欧州と同じようにLEDライトを活用した新システムが次々と量産され、高級車から軽自動車まで幅広く採用されるようになってきた。
オートレベライザーというヘッドライト調整機能の自動化は、もはや単なる高さ調整の領域を超え、ドライバーにも対向車にも、そして歩行者にとって最適な明るさを確保する総合的なシステムになっている。