毎年重点とするポイントは異なっている!
毎年春(4月)と秋(9月)に実施されている「全国交通安全運動」。じつはこの歴史は古く、1955年から政府の重要施策として実施されているものとなっている。
この運動は、「広く国民に交通安全思想の普及・浸透を図り、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付けるとともに、国民自身による道路交通環境の改善に向けた取組を推進することにより、交通事故防止の徹底を図ることを目的とする」とされており、一般ドライバーにとっては取り締まりや検問が増える次期、というイメージが強いかもしれないが、じつは毎年重点されるポイントが異なっているのだ。
たとえば、令和2年春の全国交通安全運動のときは、(1)子供を始めとする歩行者の安全の確保、(2)高齢運転者等の安全運転の励行、(3)自転車の安全利用の推進となっていたのだが、令和3年春の全国交通安全運動では、(1)子供と高齢者を始めとする歩行者の安全の確保、(2)自転車の安全利用の推進、(3)歩行者等の保護を始めとする安全運転意識の向上と、微妙に内容が異なっているのである。
また、これらの重点項目などについては、運動終了後にその効果の評価を行い、実施結果を的確に把握することにより、次回以降の運動がより効果的に実施されるよう施策の検証に努めるものとするとされており、一応はその効果を測定することが記されているのだが、内閣府の交通安全対策のページを見ても、「全国交通安全運動推進要綱」の記載はあるが、効果評価についての記載は見当たらなかった。
そのため、全国交通安全運動を行うことがどれだけ効果的なものなのかを判断するのはなかなか難しいところではあるが、芸能人が一日署長を務めたり、パレードを実施したりするのも、交通安全に意識が少しでも向けば……という涙ぐましい努力のひとつだと考えれば溜飲が下がることだろう。
当然ながらドライバーとしてはこの交通安全運動週間だけでなく、常に安全運転に努めることが当然の責務であるから、形骸化されつつある全国交通安全運動が廃止される日がくるように、事故のない運転をしたいところである。