「手放し」&「よそ見」中の自動運転で事故が起きたら? 保険の扱いとは (2/2ページ)

レベル4までは所有者に運行責任が発生する

 国土交通省が2018年に実施した「自動運転における損害賠償責任に関する研究会」での報告書では以下のように発表されている。

・自動運転車いずれの事故の場合も、「被害者救済」の観点で自賠責保険は補償対象となる

・自動運転車であっても所有者等に運行供用者責任は生じる

・事故発生にあたって自動運転システムの不具合等、自動車メーカー等の過失があると考えられる場合、保険会社が被害者に保険金を支払ったうえで、責任割合に応じた保険金を保険会社から自動車メーカー等に求める(求償する)ことになる

 そして一般論としては、もし自動車メーカー等に過失があったとすれば、それは各社が加入しているPL保険(生産物賠償責任保険)で支払うことになるであろう。

 当然、損害保険各社は、自動車メーカー等に過失があることを明確にしなければならないし、求償する際の実行性を確保する仕組みも必要となるわけだが……。

 前述した「自動運転における損害賠償責任に関する研究会」において検討された自動運転はレベル3(条件付自動運転)とレベル4(特定条件下における完全自動運転)となっている。いずれも限定的な自動運行装置であって、所有者に運行に関する責任が生じると理解するのは自然だ。

 逆にいえば、常にすべての運転操作をシステムが行なう自動運転レベル5での賠償責任については、これから明確化していく必要があるといえる。とはいえ、レベル5の自動運転が実現するにはまだまだ時間がかかるのは間違いない。

 ひとまずはレベル4までを想定した整備をしておいて、そこでの事象をフィードバックするなどして、完全自動運転時代の被害者救済を考えていくことで、法整備としては十分に間に合うだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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