アメリカでの日本車人気は相変わらず高い! 理由は「リセール」の高さにあり (2/2ページ)

アメリカンブランド車に回帰するひとが多くなっている

 アメリカブランドは、80年代ほどひどくはないものの、長い間品質や燃費性能が日本車に比べ劣ったイメージが強かった。しかし、最近のアメリカンブランド車は、最新トレンドの採用は日本車よりスピーディであるし、運転してみると驚くほど欧州車に近いものとなっており、なかなか侮れない存在となっているが、過去の“負のイメージ”を払拭することができず、リセールバリューが日本車に及ばないのが現状のようだ。それでも、ここ数年はアメリカンブランド車に回帰するひとも目立ってきている。

 裏を返せば、今後日本車が絶対的なリセールバリューの良さを失えば、アメリカ市場とはいえ、いまの販売ボリュームを維持することは厳しくなることになるともいえる。一部の車種を除けば「日本車そのもの自体が気に入っている」というよりは、「壊れにくくて、リセールバリューがいい」という現実的な理由で選択されていることが多いのである。

 アメリカで年に数回、レンタカーではあるが日本車を中心にステアリングを筆者は握っている。日本車だけでなくアメリカンブランド車もときどき借りるのだが、クライスラーでは、アルファロメオのプラットフォームを共用したセダンや、フォードでは欧州フォード車の双子であったり、GM(ゼネラルモーターズ)では、いまは売却したものの、オペルのメカニカルコンポーネントを共用したりしているので、以前のアメリカンブランド車とは異なり、驚くほど乗りやすくなっている。

 カムリと同クラスのシボレーのセダンでは、アメリカ車なのに1.5リッターターボが標準エンジンとなるなど(カムリは2.5リッター)、ダウンサイズ化も進んでいる。

 あくまで個人的な感想だが、そのようなアメリカンブランド車から日本車を運転すると、「ん?」と思うほど、シートの出来や走行性能に疑問を持つことが多くなってきた。1日に500から700kmほど運転すると、シートやプラットフォームの出来の違いは身体ではっきりと体感することができる。

 いますぐどうなるということはないが、日本車人気の高いアメリカ市場も長い目で見れば、足元をすくわれかねない状況になってきているなあと最近は感じるようになってきた。今後、アメリカでも車両電動化が進めば、それはさらに加速度的に現実なものとなっていくかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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