アンダー軽自動車サイズのコミューターが登場した
いまや新車販売の4割は軽自動車という時代。ホンダN-BOXのようなスーパーハイトワゴンが人気の中心だ。かつては660ccという排気量制限では十分に走らないという声もあったが、エンジン制御技術や無段変速機CVTといった技術の進歩によって高速道路も不満なく走れるようになっている。
ちなみに、軽自動車の規格というのは1949年に最初に生まれ、全長3.0m・全幅1.3m・全高2.0mのボディサイズで、排気量360cc以下となったのは1955年のこと。それ以降、大きな変更としては1976年に、全長3.2m・全幅1.4m・全高2.0mのサイズで、排気量550cc以下となり、1990年には、全長3.3m・全幅1.4m・全高2.0mのサイズで、排気量660cc以下となった。そして、現在の規格である全長3.4m・全幅1.48m・全高2.0mで、排気量660cc以下となったのは1998年のことである。
1)スマート・スマートK
そして1998年に軽自動車の規格が変わったことで、とあるドイツ車が日本で軽自動車としてナンバーを取得することが可能になった(と気づいた人たちがいた)。
それがダイムラー(メルセデスベンツ)が腕時計のスマートウォッチと協業して生み出した超コンパクトカー「スマート・フォーツー」だ。初期型の排気量は600ccで軽自動車規格に収まり、全長は2.5mほどで、全幅は1500mmちょっと。リヤフェンダーを製作し、リヤタイヤを細くしたことで日本において軽自動車として届け出できるようになった。
1999年ごろに軽自動車のナンバーを付けたスマートは、当初は並行輸入業者によるものだったが、2001年には正規にスマートの軽自動車バージョンが輸入されるようになる。そのモデルには「スマートK」というグレード名が与えられた。ベースとなったスマート・フォーツーがマイナーチェンジにより700ccエンジンになってからも、しばらくスマートKは正規ラインアップされていたが、2004年にモデルライフを終えている。「ベンツ製の軽自動車」ということでインパクトはあったが、非常にモデルライフは短かったのだ。
2)スズキ・ツイン
アンダー軽自動車サイズでカルト的な人気を博したスマートKに嫉妬したわけではないだろうが、同時期に日本の軽自動車メーカーもアンダー軽自動車サイズのコミューターを登場させている。それがスズキの「ツイン」だ。
全長2735mmという非常にコンパクトなフォルムの2シーターは、NAエンジン仕様だけでなく、薄型モーターと鉛バッテリーを組み合わせたハイブリッド仕様も用意していた。これは軽乗用車初のハイブリッドモデルとなった。とはいえ、日本ではコミューターに徹した規格よりも小さい軽自動車のニーズはほとんどなかったようで、こちらも2005年には販売終了となっている。
まるでツインとの入れ替わりを意識したかのように、2005年1月にスバルからは2+2でアンダー軽自動車サイズのモデル「R1」が登場した。こちらはプレミアムな軽自動車というキャラクターだったが、2010年には販売終了となっている。