メーカーが手がけるフルレストアは新車価格を上回る!
先日、NISMOが手がけた日産R32型スカイラインGT-Rのフルレストア車がオークションに出品され、予想落札金額は4500万~5000万円というニュースが流れた。
R32型スカイラインGT-Rのデビュー時の新車価格は445万円だったから、単純計算でも10倍近い価格が予想されているということになる。
もちろんこれはNISMOが本格的に手掛けたレストアの第1号という歴史的な付加価値もプラスされており、一般のユーザーがフルレストアを依頼した場合はもう少し少ない額で収まるとは思うが、それでも4桁万円は下らないのではないだろうか。
また、マツダもNISMOに先駆けて初代ロードスターのレストアサービスをスタートさせているが、基本メニューとオプションメニュー全てを実施するフルレストアの金額は、494万2000円~となっており、こちらもロードスターの新車価格を大きく上まわるものとなっているのが実情だ。
ではなぜ、レストアの価格は新車価格を上まわってしまうのだろうか?
それは、レストアをする上でどの部分に問題があるのか、どの部分を修復するべきなのかといった部分のチェックに膨大な時間がかかってしまうからに他ならない。
当然ながらレストアのベースとなる車両はすでに走行距離や年月を重ねて劣化した車両だ。例え同じ年数、同じ走行距離を刻んでいたとしても、その劣化具合は1台1台異なることだろう。
もちろんダメな部分も問題ない部分も一律して交換してしまうことで、その手間を省くこともできるが、ことボディに関しては新品のホワイトボディも存在していていない今、それをすることは不可能ということになる。
そして、新車を組み上げるのとは異なり、レストアをする際は、現状装着されているものを一旦バラすという行程も必要となり、ただ単に新品部品を組み上げるのとは単純に考えても倍の作業が必要となるわけだ。
実際、NISMOのレストアはスタートから完成まで3年もの年月がかかっているということだから、その人件費だけを考えてもレストアの金額が高額になってしまうのは致し方ないのだ。
言い方を変えれば、それだけ時間と費用がかかったとしても、愛車を新車の状態にリフレッシュしてもらいたいと考えているユーザーが存在しているからこそ、メーカーもレストア事業をスタートさせているというワケである。