自動的に給油が止まった時点で満タン状態となる
セルフスタンドに行くと、今でもまれに給油しながらクルマを揺らしている人を見かける。
おそらく、ガソリンタンクの上部に溜まったエア抜いて、少しでもたくさん燃料を入れようという試みだと思われるが、基本的には意味がない。
というのも、ガソリンタンクはもともとタンク容量の約90%までしか燃料が入らないようになっていて、タンクの上部約10%は空気の層になるように設計されているからだ。
これは何のためかというと、10℃のガソリン50Lが20℃になると+0.675L、30℃になると+1.35L、40℃になると+2.025Lとそれぞれ増える。そのガソリンの膨張分を考えて、スペースに余裕を持たせているからだ。
ガソリンをエンジンに送る燃料ポンプは、燃料タンクの中に入っていて、そのポンプの冷却と潤滑にガソリンを利用している。したがって、ポンプが動けばガソリンの温度も少し高くなる。
またほとんどのクルマは、燃料が絶えずタンクとエンジンルームを循環するリターンシステムを採用していて、こうした理由から、設計者は燃料タンクにはおよそ10%の空気層が必要と計算し、その分のスペースを用意しているのだ。
だからどんなに頑張ってクルマを揺らして給油しても、設計上、燃料タンクに隙間なくガソリンが満たされることはないので、その努力は報われないと思った方がいい。
さらにいえば、「満タン自動停止後の追加給油」と「少量給油」はセルフスタンドの禁止事項でもある。
噴きこぼしの原因になって危険でもあるし、ガソリン代は“詰め放題”ではなく、入れた分だけ支払うので、給油口ギリギリまでガソリンを注いでもメリットはない。
というわけで、給油中はクルマを揺らしたりせず、オートストップ機能により自動的に給油が止まった=「正しい満タン」と認識するようにしよう。