これだけ販売台数が増えるとリセールバリューが下がるのは必至
これについては、現場のセールスマンが興味深い話をしてくれた。「確かに現状ではアルファードのリセールバリューはかなり高いものとなっております。ただ、2020年9月以降から爆売れ状況が続いています。私の店舗のある地域の道路ではアルファードがN-BOX並みに溢れています。ここまで売れてしまうとリセールバリューのダウンは避けられないですね。3代目プリウスも似たような道を辿りましたが、そのデジャブをいま見ているようです」と語ってくれた。
つまり、現状売れ筋のS“TYPE GOLD”あたりではとくに、5年後の残価率50%は、一般的な中古車市場では今後維持できないだろうと、このセールスマンは語ってくれた。とはいっても、トヨタの残価設定ローンは残価保証型となるので、内外装の状況や走行距離などによる減点での追加払いがあっても、仮に中古車市場の相場が下がったとしても、設定残価は維持されることになる。
ここまで売れると、いままでのリセールバリューを維持するのは難しくなる可能性はかなり高い。そのため、買い取り店への売却で残債整理をすると、足が出るリスクが高まっているともいえる。つまり、乗り換え車種がアルファードとは限らないが、次の乗り換えもトヨタ車へとセールスマンが導きやすい環境が整っているともいえるのである。
市場自体の縮小傾向に歯止めがかからないいまの日本市場では、新たにライバルメーカー車に乗るひとに、自社の新車を買ってもらうことも当然大事だが、現状で抱えている自社客を可能な限り他メーカー車に流れないように囲い込むことのほうが優先度合いは高まってきている。いまどきは免許証の自主返納などで、自社客の減少に歯止めがかからない状況になっているのである。
トヨタがどこまで戦略的にアルファードの爆売れを仕掛けたのかは定かではない。ただ、深読みすると、かなり計画的に進められているのではないかとも考えることができる。