ターマックはレースとの共通点があるがグラベルは別モノ
ちなみにレースとラリーの共通点について尋ねるとコバライネンは「ターマックでいえば、ラリーもレースに似たような部分がある。たとえば、アグレッシブなブレーキングとスムースなコーナリングはレースもターマックラリーもドライビングのポイントになるけれど、グラベルラリーはまったく異なる。グラベルはグリップが違うから、もっとアグレッシブでサイドウェイになることも多いしね。そういった意味ではグラベルよりターマックのほうが自分のレースキャリアを生かせるかな」と語る。
このようにトレーニングの一環としてラリー競技のチャレンジを行なっているコバライネンだが、その実力はラリーでもトップレベルで、新城ラリーでもコドライバーの北川紗衣のリーディングを受けながら好タイムを連発した。ドライで行われたレグ1では、SS3およぶSS4でベストタイムをマークし、JN2クラスの2番手でフィニッシュ。しかも、この日の最終ステージとなるSS4はスバルWRXを駆る新井敏弘、新井大輝らを抑えての総合3番手タイムで、まさに異次元の走りと言えるだろう。
さらに雨に祟られたレグ2でもコバライネンは抜群のコントロールを披露し、ついに逆転に成功。「レグ1のフィーリングは良かったけれど、レグ2は雨がすごくてサバイバルのような状態だった。でも、ドライターマックでのパフォーマンスが良かったし、多くのポイントを取れたから、良いスタートを切れた」と語るようにコバライネンがJN2クラスで開幕Vを達成した。
コバライネンは2021年もスーパーGTと並行しながら全日本ラリー選手権への参戦を継続する予定で、第2戦の新城ラリーを含めて第5戦「ラリー丹後」、第6戦「モントレー」、第7戦「ラリーカムイ」、第8戦「横手ラリー」、第10戦「ハイランドマスターズ」と計6戦に参戦。さらにWRC第12戦として愛知県および岐阜県で開催されるラリージャパンにもコバライネンは北川とコンビを組み、トヨタGT86 C3-R3で参戦する予定だ。
「出場したすべてのラリーで勝ちたいね。トヨタGT86は競争力のあるマシンだから、ターマックではチャンスがあると思う。グラベルラリーはFFモデルが速いから難しいけれど、2年前の横手ラリーとラリーカムイは悪くなかったから今年はもっとプッシュしたい」とコバライネン。さらに「すべてのラリーに出場できるわけではないし、グラベルは厳しいと思うけれど、出場したすべてのラリーでいいリザルトを残すことができればタイトル獲得のチャンスも少しはあると思う。でも、タイトル獲得よりもSSのタイムでベストを取れるようにしたい」と語っているだけに、スーパーGTと同様に全日本ラリー選手権でもコバライネンの動向に注目したい。