今後「渋滞時ハンズオフ機能」が普及することは間違いない
かつて、ドライブデートが生きがいだった頃の話だ。ある日、彼女と湘南にドライブ。しかし帰路、彼女の家の近くになって連休最終日の夕方ということもあり、道は大渋滞。もう1時間以上、牛歩のように進むしかなかった。こうしたシチュエーションでは、個人の性格がにじみ出たりする。イライラばかりする人、無口になる人、時間の心配ばかりする人……など。
が、隣に座っていた彼女は、そうではなかった。かえってスピードが出ているときより会話がはずみ、その渋滞時間を楽しんでいるようだった。しかも、そのときからもう何十年もたっているのに、いまだに覚えている彼女からの一言がある。それは、「こうして渋滞しているから、ふたりの時間がいつもよりいっぱいあるね」である。甘酸っぱい思い出である。なんていい子だったんだ!!
しかし今、そんなできた、渋滞ウエルカムの昭和な彼女が隣に座っているとは限らない。1人の運転だったり、助手席の誰かが寝てしまっていたりすることもあるだろう……。
でも、時代は渋滞さえ楽しませてくれるようになりそうだ。というのは、新型スバル・レヴォーグのアイサイトXや、新型ホンダ・レジェンドのホンダセンシングエリート=世界初の自動運転レベル3などに採用されている「渋滞時ハンズオフ機能」がこれから普及することは間違いないからだ。
「渋滞時ハンズオフ機能」とは、高速道路や自動車専用道路上で渋滞に遭遇すると、高度運転支援システムが渋滞と判断。加速、ブレーキ、ブレーキ保持、ステアリング操作を自動で行ってくれる機能のこと。新型レヴォーグは前を向いている必要があるものの(車内のカメラがドライバーをモニターしている)、ステアリングから両手を放すことが可能。当然、ペダル操作も不要だから、渋滞による運転のストレスは大幅に軽減される。実際、新型レヴォーグのアイサイトXに乗っている時、首都高速の渋滞に遭遇した経験があるけれど、とにかくラク、というか、カーブさえしっかりトレースしてくれる、かつてないクルマとの付き合い方、先進的な走行に感動さえしたほどだった。
そう、渋滞にハマっても、まだ「渋滞時ハンズオフ機能」を実体験していない同乗者と高度運転支援システム、今、起こっている自動運転的な機能について会話が弾むことも必至ではないか。もちろん、ドライバーがペットボトルのキャップを開ける、鼻をかむなどの動作も、ステアリングから手を放した状態で無理なく行えるのだ。渋滞が苦にならず(トイレ事情は別として)、むしろ渋滞を待ち望み、楽しむ余裕さえ生まれたりするかもしれない。