クルマが「鍵をひねっていた」ころはほぼコラムの右側! それなのにいま「スターターボタン」の位置がバラバラの理由 (2/2ページ)

スタートスイッチの配置はメーカーや車種によって自由自在

 ところで、この手のモデルではエンジンスタートボタンもステアリングに配置されていたりするが、スーパーカーに限らずエンジンスタートボタンの位置というのは、かなり多くのクルマにおいて自由に配置されている印象がないだろうか。

 かつてキーをひねってエンジンをかけていた時代は、多くのメーカーがコラム部分にキーシリンダーを置いていたが、スマートキーが当たり前になってからはメーカーや車種によってエンジンスタートボタンの位置は定位置が決まっていない印象だ。

 インパネに配置されているメーカーが多いが、それでも外側なのか内側なのかメーカーのよって思想は異なるし、センターコンソールにエンジンスタートボタンを置いているメーカーも増えている。

 ちなみに、カギを回してエンジンをかけていた時代から、メルセデス・ベンツはインパネにキーシリンダーがあったり、サーブはセンターコンソール(シフトレバーの後ろあたり)にキーを刺していたりした。もっと古い話をすれば、足もとにエンジンスターターボタンがあって足で踏んでエンジンをかけていた時代もあった。

 このように歴史を遡っても、ステアリングコラムのキーシリンダーにキーを刺して回してエンジンをかけるというのは多数派ではあったが、けっして規格化されたものではないということがわかるだろう。

 というわけで、エンジンのかけ方についていえば、もともとバラバラだったのだから規格化されることもなかったといえる。その流れを汲んでエンジンスタートボタンが普及してからもメーカーごとのデザインや哲学においてそれぞれがベストと考える位置としているのだ。それ故に混乱を来しているともいえるが、そもそも単機能のボタンであり、一度覚えてしまえばさほど困ることもないだろう。

 エンジンスタートボタンに限らず、クルマの操作系というのは意外に規格化されていないもので、たとえばヘッドライトのスイッチについてもウインカーレバーと一体化されているケースが多いが、インパネに独立したスイッチを配しているケースも少なからず存在している。このあたりも規格化されていない故だ。

 このようにクルマの操作系というのは意外に統一されていない。最近ではオートマチックトランスミッションの操作系について、ドライビングミスを誘発するとして言及されることも多いが、それこそメーカーによってまったく異なる操作系となっていることが多い。

 というわけで、一般ドライバーはたとえ操作系が他社のモデルとは違っていたとしても、愛車の運転で間違えないようにすれば問題ないだろう。いろいろなクルマを確実に操作したいという上級ドライバーであれば、慣れで運転せずにひとつひとつの動作を確実に行なうように意識するといいだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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