オイルショックという逆境がクルマにもたらした進化と課題! 燃費への厳しい目が「優れた技術」を消した過去 (2/2ページ)

ロータリーエンジンが電動化時代に大活躍する可能性も!

 三元触媒による後処理が完成するまで、さまざまな自動車メーカーがCVCCとサーマルリアクターに食指を伸ばし、各々研究開発を行った。

 そこに起きたのが、石油ショックだった。省エネルギーとはすなわち、クルマにとっては燃費向上である。ロータリーエンジンでHCの排出が多いということは、未燃焼ガソリンが燃え切らず排出される、すなわち燃費が悪いことにつながり、ロータリーエンジンへの熱意が世界的に冷めていった。マツダは、自社開発のエンジンであるため存続に努めたが、RX-8の発売以降、ロータリーエンジン車は消えてゆくことになる。

 ただし、ロータリーエンジンはレシプロエンジンに比べ圧縮比もそれほど高くならないので、燃料の質を問いにくい特徴があり、電気自動車(EV)のレンジエクステンダー用の発電動力として見直されている。マツダが現在開発中であり、MX-30のEVにいずれ搭載されることが期待されている。

 またアウディも、そもそもヴァンケル型ロータリーエンジンをNSU時代に採用していた経緯があり、EVのe-tron開発過程で、レンジエクステンダー用としてロータリーエンジンを発電の動力として試作したことがある。いずれにしても、石油ショックは、世界的にクルマの燃費への目が厳しくなる最初の出来事だったといえる。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

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乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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