実線は矢印の方向に進まなければ違反になる
ベテランドライバーでも気がついていない人が多いかもしれないが、じつは交差点などの手前の路面に書かれている矢印の路面標示には2つのタイプがある。
ひとつは一般的な実線の矢印。もうひとつは破線の矢印だ。
よく見る実線の矢印は、四角い青地の「進行方向別通行区分」の標識とセットで表示されているのが基本で、その車線を走っているクルマは矢印の方向に進まないと「進行方向別通行区分違反」になる。
ではもうひとつの、破線の矢印はどのような違いがあるのか。
破線の矢印は「規制予告表示」で、交通を整理、誘導、規制するためのもの。
要するに、「この先で矢印の通りの進行方向別通行区分がある」という予告のための表示なので、その場で破線の矢印通りに、左折・直進・右折をしなくてもまったく問題はない。
つまり、右折レーンの手前でよく見かけるゼブラゾーンと同じで、道路交通法上の交通規制を表す表示ではないということ。
さらにいえば、路面に『止まれ』+停止線が書かれてあったとしても、そこに「止まれ」の標識がなければ法的規制はなく、一時停止しなくても違法ではないことになっている。
少しややこしくなってきたので、わかりやすくまとめよう。
基本的に路面標示はルールを定めたものではなく、あくまで指示表示であるということ。
そして法的規制のあるルールは「標識」によって表示されるのが原則。
路面へのペイントは前走車の位置で見落とすことがあり得るが、標識の見落としは許されないので、件の「進行方向別通行区分」をはじめ、各種標識には十分注意を払って運転するようにしよう。