パワーが控えめなスペシャルなエンジンを搭載したモデルも!
3)ロータス・ヨーロッパ
さて、1970年代に日本にスーパーカーブームを巻き起こしたコミックといえば「サーキットの狼」で決まりだろう。そのなかで初期に主人公が愛車としていたのがロータス・ヨーロッパだ。モデル後期に登場したヨーロッパ・スペシャルはフォードの1.6リッターエンジンにロータスのツインカムヘッドを組み合わせた、まさにスペシャルなエンジンを積んでいたが、その最高出力は126馬力に過ぎなかったりする。
さらに初期のヨーロッパが積んでいたエンジンはルノー製の1.5リッター 4気筒OHVで、その最高出力は82馬力でしかなかった。600kg台の超軽量ボディでロータスのシャシーということもあって稀代のコーナリングマシンであることは否定しないまでも、スーパーカーブームのど真んなかにいたロータス・ヨーロッパのエンジンがOHVでカタログ値でも80馬力少々という事実には驚いてしまうのではないだろうか。
4)ホンダCR-Z
最後に、ぐっと時代を現在に近づけて、2015年まで生産されていたホンダCR-Zを紹介しよう。ご存じのように、CR-Zは1.5リッターエンジンと薄型モーターを組み合わせたハイブリッドスポーツカー。トランスミッションにCVTのほか6速MTも用意したことで、ハイブリッドカーでも古典的なスポーツドライビングが楽しめると話題になった。
エンジンは可変バルタイ機構「i-VTEC」を採用したもので、そこに発進トルクに有利なモーターを組み合わせている。余裕の低速トルクとストレスなく高回転まで吹け上がるというスポーツカーに要求される、相反するキャラクターを両立していたのも特徴だ。
とくに後期型では出力特性に優れたリチウムイオン電池を採用。PLUS SPORTボタンを押すことでモーターアシストを瞬時に最大にするという制御も組み込まれ、電動アシストスポーツというCR-Zのオリジナリティを強調したのも記憶に残っていることだろう。
ただし、パワーユニットの最高出力スペックを並べると、エンジンが120馬力で、モーターが20馬力。システム最高出力は136馬力程度にとどまった。リッター当たり100馬力を当たり前のように発生していた、かつてのVTECエンジンを知っているドライバーからすると2010年代のスポーツクーペとしては物足りなく感じた部分もあったことだろう。