この記事をまとめると
◼︎コロナ渦や工場火災、自然災害などの影響により半導体が世界中で不足している
◼︎半導体不足はクルマだけでなく、電子機器業界全体の問題になっている
◼︎業界の予想とは裏腹にクルマやパソコンなどが売れているせいでもある
カンバン方式の弱点がコロナ禍で浮き彫りになった
ここのところニュースを見ていると、世界中の自動車工場で半導体が入ってこなくなって、生産が止まっているというのをよく見かける。海外のほうがダメージは大きいので、日本は関係ないと思いがちだが、日産やスバルの国内工場では減産や一時操業停止になっている。
具体的な原因はじつはとてもシンプルなのだが、根本にある問題が、サプライチェーンで、日本語にすると供給連鎖となる。自動車は約3万点のパーツからできていると言われるが、もちろんすべて自動車メーカーが作っているわけではない。逆にほとんどのパーツは外注で、アッセンブリーメーカーとして組み立てるだけというのが現在の自動車メーカーであり、工場だ。パーツメーカーにもその下に外注があったりと、網の目のように複雑に、しかも国を越えてつながっている。それがサプライチェーンで、うまく回っていればそれでいいが、一旦なにかが起きてチェーンが分断されるとすぐに生産に影響が出てしまう。
さらに自動車の部品調達では、トヨタが考え出したカンバン方式を、ジャストインタイム方式といい、世界中のメーカーが採用している。カンバン方式とは、減ったぶんだけをパーツメーカーに納品するというもので、要は無駄な在庫をもたないのが特徴。さらに部品メーカーも下請けに対してカンバン方式を採用していることも多く、ここでも複雑につながっている。つまり在庫がないということは、供給が止まれば、即操業停止になってしまうわけだ。
これらの問題を前提として見ていくと、今回の騒動の原因を知るにはなぜサプライチェーンが切れてしまったかが重要となる。また半導体だけがなぜ供給不足になったかもカギだ。ちなみに、最近のクルマはコンパクトカーでも30個以上は各部にコンピュータが付いていて、大量に必要なのは確かだ。それでは原因を整理して紹介しよう。
1) コロナでの減産を見誤り
これが一番大きくて、コロナで需要がかなり落ちると予測して半導体メーカー自体が減産。すると、自動車の需要回復が予想以上に早かったのと、リモート用にパソコンの需要が増えてしまった。在庫がないので急に需要が増えてもすぐには納品できない。これはカンバン方式の弱点となる。