カメラ化が進んでドアミラーが少数派になる可能性も?
現行モデルでいえば、トヨタのGRヤリスはボディカラーを問わず、ドアミラーがブラックとなっているが、これはドアミラーを目立たせなくすることで、ボディの塊感を強調するというのが狙いといえるだろう。コストダウンのためではなく、あえてドアミラーをブラックにしていると捉えるべき事例だ。
こうしたアイデアがけっして新しいものではない証として、1990年代の例をあげれば、プジョーのスタイリッシュモデル「406クーペ」も黒いドアミラーを採用していた。
その狙いがドアミラーの存在感を消すためというのは当時のデザイナーも話していた。たしかに斜め前からみるとドアミラーが目立たず、そのスーッとしたボディの良さが引き出されていることが実感できる。406クーペが元祖というわけではないが、ドアミラーをブラックアウトすることでスマートに見せるというテクニックはずいぶん前から存在していたのだった。
また、完全にブラックにするのではなく半分だけブラックアウトさせることでドアミラーをスマートに演出するというテクニックも存在している。前述したようにドアミラーというのは反射鏡の面積からサイズが決まってしまうためコンパクト化が難しく、そのあたりをバランスさせるカラーテクニックのひとつが、ブラックを使うというものだったりするのだ。
ところで、今後はミラーをカメラとディスプレイに置き換える「CMS(カメラモニタリングシステム)」が広がっていくことが考えられる。実際、CMSを標準化したHonda eでは、カメラ部分はボディ全幅の範囲内に収まっているという。そうした未来になるとカメラ筐体をスタイリングの要素として利用するのか、目立たせなくするのか。いずれにしても、CMSに関する色使いにおいても、ドアミラーとはまったく異なるアプローチが出てくることだろう。