現在では高回転エンジンが生み出せないことも希少さを高めている
3)三菱4G63
RB26DETTと並んで、チューニングの可能性を秘めているのが三菱ランサーエボリューションのパワーユニットとしてお馴染み2リッター 4気筒の「4G63」エンジンでしょう。当初は自然吸気で140馬力程度のスペックという平凡とも思えたエンジンでしたが、その頑丈すぎる鋳鉄ブロックはまさに無限のポテンシャルを秘めていました。
そのポテンシャルが最初に知られるようになったのはギャランVR-4に搭載されたときでしょう。DOHCヘッドとターボチャージャーを組み合わせた4G63型エンジンは205馬力を発生、ギャランがWRCで活躍する文字どおりの原動力となったのです。
その後、ランサーエボリューションの心臓部として進化していったのはご存じのとおり。最終的には可変バルタイ機構などを備え、当時の国内自主規制である280馬力に達しました。さらに、排気量アップを前提としたチューニング次第では1000馬力も十分に狙えるほどの潜在能力を持っていることから、史上最強の4気筒エンジンと呼ばれることもあるほど。
こちらも搭載モデルは中古車市場で価格上昇中ですが、ランサーエボリューション7~9のタイプ(CT9A型)であれば、それなりの数が見つかることからまだまだ入手可能なタイミングとなっています。
4)ホンダF20C
同じ、2リッター4気筒エンジンでもパワーではなく、高回転までよどみなく回るというキャラクターで時代を変えたのが、ホンダの「F20C」エンジンでしょう。
本田技研工業50周年記念モデルとして誕生した後輪駆動のオープン2シーター「S2000」の専用エンジンとして生まれたF20Cは、ホンダとしては久しぶりの縦置きレイアウトであり、2.0リッターNA(自然吸気)ながら最高出力250馬力という高性能ぶりも注目されましたが、レブリミットが9000rpmというホンダらしい超高回転ユニットに仕上がっていたことでも注目を集めたエンジンでした。
高回転でパワーを絞り出しつつ、実用性も確保しているのはホンダの独自技術であるVTECのおかげといえますが、では現在において同様の高回転エンジンが生み出せるかといえば答えはノーです。なぜなら、当時と比べて、排気ガス規制、騒音規制とも厳しくなっており、高回転まで許容できるエンジンを“市販”することが難しくなっているからです。
その意味でも、F20Cは不出世のNAエンジンであり、S2000の走りを楽しむことはまさにエンジンを味わうことでもあるといえるのです。とくにF20Cエンジンを搭載した前期型S2000については、まだまだ中古車市場で見かけますが、走行距離などのコンディション次第ではプレミア価格をつけるようになっています。入手は急いだほうがよさそうです。