目的はシフトダウン時の荷重変動をなくすこと
乗用車の新車販売のAT率が99%に達した今日でも、ヒール&トゥはスポーツドライビングの代表的なテクニックだ。それゆえに、この時代にわざわざMT車に乗っているユーザーとしては、ヒール&トゥをマスターしたい、あるいは上達しておきたいところ。
ではどうすればヒール&トゥが上手になるのか?
その前に、そもそもなぜヒール&トゥが必要なのかをおさらいしておこう。ヒール&トゥの目的は、シフトダウン時の荷重変動をなくすこと。これに尽きる。ヒール&トゥ=減速のための操作と誤解している人もいるようだが、減速のコントロールはフットブレーキの仕事。ヒール&トゥを使っても制動距離は縮まらないし、むしろヒール&トゥが上手でない人は、ヒール&トゥを使うことでかえって制動距離が伸びていることが多い……。
従って、正しいヒール&トゥとは
・制動距離が伸びない
・荷重変動(ピッチング)を起こさない
というのが条件になる。
オートバイ(スクーターを除く)に乗っていた人なら、減速しシフトダウンするときに、自然とブレーキレバーを握りながらアクセルをふかして回転を合わせ、シフトショックがでないシフトダウンをしているはずだが、ヒール&トゥはそれの四輪版だと思えばいい。
そういう意味で、二輪の経験が豊富なドライバーなら、ヒール&トゥの上達も早いはず。そうでない人の場合は、いきなりヒール&トゥの練習をするのではなく、まずブレーキを踏まずにシフトダウンの練習だけをしてみよう。