情報量なら「デジタル」だが「アナログ」にもメリットが! 百花繚乱のいまどき自動車「メーター」事情 (2/2ページ)

わかりやすく表示できるかどうかがカギ!

 もう少し言えば、想定した液晶パネルのサイズ内で、どれだけの情報を分かりやすく表示できるか、というのがデジタルメーター使いこなしのカギともなる。実際、かつてのスポーツーカーが競ったメーターの数、いわゆる○連メーターの表示がこれにあたり、エンジン回転計、電圧計、電流計、油温計、油圧計、ターボカーなら過給圧計といった各種メーターをどう表示するかということである。ただ、メーカーによっては、それぞれが適正値(適正範囲内)にあれば、視覚的に煩雑となる情報表示をあえて避け、異常値となった場合のみインジケーターなどを点灯させて警告する方法のメーカーもある。

 デジタル化により、多くの情報を正確に検知・表示できるのが現在の自動車技術だが、言い替えれば、クルマ各部の基本メカニズムが高度に安定し、走行中に各要素の変化幅が極端に小さくなっている現在、ドライバーが常時車両各部の運転状況をモニタリングする必要はなくなっている。考えてもみれば、複数のメーターを並べてスポーツ色を強調したかつてのコクピットデザインも、量産車の状態で常時油温や油圧の管理に気を配らなければならない車両というのは、性能の安定性、商品の完成度の点で大きな問題を抱えていることになる。○連メーターというのは、あくまでスポーツ色を強調するアクセサリー装備に過ぎなかった、と言うことができるだろう。

 さて、アナログ式(指針式)とデジタル式(数字表記)ではどちらが確認しやすいか、ということだが、これは読み取る人間の個人差により、一概に優劣はつけがたい問題だ。我々の日常生活のなかで、もっとも慣れ親しんだアナログ表示といえば、円形の文字盤を12等分した時計を思い浮かべるが、液晶を使った数字表記によるデジタル表示の時計も少なくない。自動車のメーターもまさにこれと同じで、自分に馴染みのある表示方法が見やすいと言えそうだが、指針式によるアナログ表示には、針が指し示す位置、言い替えれば、針の振れ幅で走行速度やエンジン回転をひと目で確認できる特徴がある。

 たとえば、メーターの針が真上を指しているときは○○km/h、あるいは○○回転といった認識のしかたで、走行中、メーターパネルの表示を注視しなくても速度や回転数を判断できる特徴がある。逆に、この特性を利用して、かつてのレーシングカーのように各数値の正常値を真上、あるいは真横といったように方向を統一してメーターをセットする手法が使われていた。何かが異常値となった場合、そのメーターだけが他のメーターと異なる針の位置となるため、ひと目で異常があることを判断できたからだ。

 もっとも、この機能を、多彩な表示方法や機能を持つデジタル式に置き換えると、正常時はとくに情報表示をせず、異常時だけウォーニング警告や異常値を数値によって表示する方法があるため、これはこれで分かりやすい表示と言えるだろう。

 表示機能や精度、情報量でいえば、圧倒的に優れているのはデジタルメーターだが、市販車にとって必要な情報は何なのか、ドライバーにとってわかりやすい情報表示は何なのかを考えてみると、まだまだアナログ式が持つ利点も有効なようにも思える。


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