トヨタのライバルは日産でもホンダでもなくスズキ! コンパクトカー販売現場に衝撃の変化 (2/2ページ)

電動化モデルがあるのは強みだが……

 ただ、いかんせんブランドパワーやセールスパワーの差もあり、先駆者であるスズキよりトヨタが注目されてしまい、いまの“大化け”状況となってしまっている。

 スズキ系ディーラーのセールスマンも、「トヨタさんは、やはりすごいですよ。ルーミーをあそこまで売ってしまうんですからね」としみじみ語ってくれた。とは言っても、現行ソリオがデビューし、初めてフルカウントとなった2020年12月から2021年2月までの月販平均台数は約5182台となり、月販目標の4000台を上まわるヒットとなっている。

 クロスビーは、月販目標台数2000台に対し、デビュー後暦年での年間販売台数ベースで初めてフルカウントとなった2018暦年締め(ライズはいなかった)年間販売台数は3万624台(月販平均台数2552台)だったものの、2020暦年締めでは1万5546台(月販平均台数約1295台)となっており、ルーミーよりも大ヒットとなったライズの影響を、少なからず受けているのが現状のようにも見える。

 ソリオについては、現行モデルではルーミーをかなり意識したようで、販売現場で車両説明を聞くと、「ルーミーに比べて~」という説明をセールスマンから多く聞くことができた。メインのパワートレインは、ルーミーにはないマイルドハイブリッド採用と差別化している。ダイハツにはいまのところ電動パワートレインは存在しないし、ダイハツからのOEMなのでTHS(トヨタのハイブリッドシステム)が搭載されることはまずない。

 ストロングハイブリッドをやめ、マイルドハイブリッドメインにしたところにもスズキらしさを感じる。「スズキはトヨタに比べると、装備を奢っているとお客さまからお声をいただくこともあります」とは現場のセールスマン。

 大ヒットしたライズだが、販売現場で聞くとクロスビー云々は抜きにしても「ハイブリッドはないの?」とお客に聞かれることが多かったとのこと。いまは「ヤリス クロスにはありますよ」と振れば、たいていはヤリス クロスを購入する(ヤリス クロス大ヒットの一因)ようだが、ルーミーでもそこが(ハイブリッドがない)唯一の泣き所のようである。ただ、ソリオが1.2リッターなのに対し、ルーミーは1リッターとなっているので、自動車税が安くなるというのは逆にソリオに対する攻めどころとなっているようだ。

 いまや、軽自動車を除けば、国内市場をより強く意識したモデルをラインアップしているのは、トヨタ(ダイハツ)とスズキぐらいとなっている。ただ気になるのは、先日スズキの鈴木 修氏が会長を退任すると正式発表したこと。初代が大ヒットとなったハスラーも、鈴木会長が販売現場の声に耳を傾け、そこからプロダクトが始まったという“都市伝説”のような話がある。

 鈴木会長が一線を退いたあとも、販売現場に寄り添ったモデルの投入が続けられるのか、そこがいま気になってならない。ただ、業販比率の高いスズキでは、業販店の声というものが新車開発で重視されているようなので、余計な心配となることを願いたい。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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