今後は交通事故の際にデータを活用することが期待されている
しかも最近では、事故の瞬間の前の5秒間から事故後の2秒を記録するものが主流になってきている。
こうしたデータを活用すれば、『ブレーキとアクセルの踏み間違い』や『ブレーキを踏んだのにクルマが加速した』といった類いの事故の状況を客観的に解明できるはずなのだが、今のところ日本国内では、交通事故の原因分析にEDRを積極的に使っているという話は聞こえてこない……。
その理由は、まずEDRの統一基準がなく、自動車メーカーやサプライヤーによって、データが異なること。
そして、EDRから事故発生時のデータ読み出しを行うには、「クラッシュ・データ・リトリーバル(CDR)」が必要で、そのデータを分析するには専門の知識と訓練を受けた有資格者が必要になるため。
汎用のCDRを開発したボッシュが、その専門家=CDRアナリストのトレーニングと認定をおこなっているが、現状まだ国内には150人程度しかCDRアナリストは存在しない。
交通事故の件数は、年間150万件といわれているので、EDRのデータを積極的に活かすには、マンパワーが圧倒的に足りないわけで、これが大きなネックになっている……。
しかし、事故当事者の記憶や主観に頼らず、客観的に事故分析ができるEDRはとても有効なシステムで、今後は裁判や自動車保険などでもEDRデータで検証するのが当たり前のようになっていき、事故処理の公平性と迅速化が加速すると期待されている。