サーキットを離れた場所でも監督業をこなす
「僕の場合、すべてのスタッフがいかに働きやすくするか、ポテンシャルを発揮できるような環境を作るために全体を見てマネジメントしています。必要な場合はドライバーがどう乗るかを決めますし、必要ではない時はスタッフに決めてもらう。イメージ的には調整役で潤滑油のような存在。最終的には自分がいなくてもチームが回るようにすることが僕の仕事です」と脇阪監督は語る。
さらに近年の著名人の監督についても「元プロ野球選手の佐々木(主浩)さんもチーム監督を務めていますよね。そういった有名な人がいることで注目されるし、スポンサーがついてこそプロスポーツとして成り立つわけだから、そういったことも監督としての重要な役割です。いろんな仕事が求められるのがレーシングチームの監督だと思います」と語る。
ちなみに、レーシングチームでは星野一義や中嶋悟、鈴木亜久里、金石勝智、立川祐路などドライバー出身の監督が活躍しているが、その理由について「勝負の世界だし、ルールも知っていないといけないので、やっぱり経験値が必要な部分があると思います」と脇阪監督。
さらに「自分はドライバーをやりながらも、マネージングプレーヤーみたいに監督的な部分もこなしていた。年齢を重ねたことでプレーヤーの部分が不得意になったこともあって、今は若いドライバーがクルマを走らせくれている。で、ドライバーのコメントに対してチーム側が信用できないシチュエーションがあったとして、もし、ドライバーが正しいと思ったらチームに対して“ドライバーは間違っていないですよ”とドライバーのコメントに信用を与えることも僕の仕事だと思っています」と脇阪監督は語っているが、これこそ、ドライバー出身だから行えるディレクションだと言えるだろう。
そのほか、サーキットを離れた部分においても「ミーティングの議長をしています。各レースで改善すべきことが見つかるので、その報告をうけて次の課題を与えたり、スタッフもひとりひとり家庭や育ってきた環境も違うので、寄り添いながらチームの空気感を良育していくことも監督の仕事だと思います」と脇阪監督が語るようにレーシングチームの監督業は多岐に渡る。
なお、気になる監督業の給料について脇阪監督は「働いている度合いにも寄りますし、契約の仕方によっても変わってくる。僕は契約金のほか、成績に合わせて歩合の報酬もありますよ」とのこと。
ちなみに、星野一義や鈴木亜久里、中嶋悟は監督であると同時にチームオーナーでもあるが「お金の計算とレーシングチームを良くするのは、時には矛盾するところがでてくるので、そこで一緒にやるのは大変。86/BRZレースでは僕はドライバーであり、監督であり、オーナーでもあるんですけど本当に難しい。チームの経営者に対しては本当にリスペクトをしています」と脇阪監督。
このようにレーシングチームの監督は大変な業務で経験や対応能力が必須となっている。