そもそも高額車は寄贈されていることが多い
栃木県警にR35・GT-RやレクサスLCという1000万円級のパトロールカーが存在していることはニュースにもなったので、ご存知の自動車ファンは多いのではないだろうか。さらに遡れば、栃木県警はNSX(初代)のパトロールカーも存在していた。たしかに栃木県というのは日産の工場やホンダの研究所があるなど縁の深い土地柄だが、栃木県警は贅沢をしているという声も聞かれる。
もっとも、GT-RやLCのパトロールカーについては有力者からの寄贈だというから税金を使って購入したものではない。けっして無駄遣いというわけではないのだ。ちなみに、かつて栃木県警にNSXを寄贈したのはホンダ自身だったりする。
さて、そうした高額かつハイパフォーマンスなパトロールカーが実際に高速道路で日常的に取締っているという話は聞かない。パレードやイベントでの展示が主な役割となっている。たしかに国産ハイパフォーマンスカーは交通安全の広告塔としても有効だろうが、その性能を取締りにフル活用しないのはもったいないと思うかもしれない。
しかし、いわゆる高速機動隊でのパトロールカーの使われ方を知ると、高額車を日常的に運用する難しさも理解できる。
筆者が、かつて東名高速道路をテリトリーとする某県警の高速道路交通警察隊に伺ったところ、パトロールカーの勤務は24時間体制で、一日の走行距離は500~600kmになるという。ちなみに乗車する隊員も24時間勤務で3交代制になっている。
すなわち一か月の走行距離はゆうに1万kmを超えるペースで走行するのが高速パトロールカーの現実というわけだ。そのためタイヤの交換は2か月に一度程度のペースで行なっているということだった。そのほかブレーキなどの消耗品やエンジンオイルなど油脂類の交換などそれなりの整備代がかかってしまうという。なにしろ、常に万全の状態を維持していなければパトロールカーとしては機能させることができないため当然のことだ。