「よろしくメカドック」が復活! 作者と開発者が語る「S660Modulo X Version Z」の魅力とは (3/3ページ)

ここ10年ほどで誕生したものも35年近く前に描かれていた

松岡「メカドックではいわゆるチューニング以外にも、女性視点で運転しやすいクルマや、MT車のヒルスタートアシストの原型と言えるような、実際にはここ10年ほどで誕生したものも、35年近く前に描かれていました」

次原「決してそんな先の未来を見越して描いたわけではないんですけどね(笑)。あのエピソードはレースが終わった後……元々メカドックではレースを描くつもりはなくて、あくまでチューニングショップの周辺で生まれるドラマを描こうと思っていたんです。だけど少年誌連載で、勝った負けたの世界にならないと人気が出ないから、それでレースを描いたら人気が出たんですよ。

 その後で目先を変えようと思って描いたのが、女性向けのドレスアップで、『それもチューニングのひとつじゃないか』と。全然深く考えていなくて、週刊誌連載だから『次に何をやろうか』と、結構ヒヤヒヤで作っていましたよ(笑)」

松岡S660は今回のバージョンZをファイナルエディションとして生産終了しますが、今後のホンダのスポーツカーに期待したいことは、何かありますか?」

次原「メカドックにも登場させましたが、バラードスポーツCR-Xを作っていた頃は、ホンダが一番元気な時代でしたよね。あの時代の元気さを取り戻してほしいなァ。S660のようなクルマは他のメーカーには作れないから、作ってくれたこと自体に感謝しているけど、これからもああいうクルマをまた新しく作ってほしいですね」

松岡「モデューロXに関してはどうですか? 前回コラボレーションしたステップワゴンと今回のS660は対極のクルマですが、共通点は何か感じられましたか?」

次原「どちらもホンダさんらしいクルマですよね。それに、どちらも安心して運転できる」

松岡「北海道の鷹栖プルービンググラウンドでテストしていますが、よく映像で流しているアップダウンの激しいコースではなく、欧州の郊外路を模した、狭くて荒れたコースでチューニングしています。そこでは片手でステアリングを切って、ちゃんと行きたいラインを通れるか、切ったより曲がらなかったり、逆に曲がりすぎたりしないようにしていますので、それが安心感につながっていると思います」

次原「モデューロXはとんがっていなくて、緊張せずに走れますよね」

松岡「チューニングカーというとどうしても、とんがっているイメージがありますが(笑)」

次原「扱いにくい、犠牲にしている所がないですよね」

松岡「職人気質のエンジニアが、バンパーの一部分を1mm削るとか、そういう地道なチューニングをして、作り込んでいます」

次原「そういう部分はコンピューターを使いながら作っているんですか?」

松岡「いえ、造形を決めては走って、トライ&エラーしながら作っています。効率は悪いですけどね(笑)」

次原「そんな風に手間暇かけて作られたクルマが生産終了してしまうのは寂しいですね」

松岡「ホンダスピリットはクルマそのもの以外の部分にもありますので、これからも期待して下さい」

次原「モデューロXも、これからも幅広く続けて下さい」

松岡「スポーツカー好きにも、家庭の事情でファミリーカーを選んだ方にも、皆さんに乗ってもらえるクルマを作り続けたいです」

■Modulo X オフィシャルホームページはこちらから

遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

愛車
ホンダS2000(2003年式)
趣味
ゲーム
好きな有名人
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