往年の名車「シティブルドック」をイメージ
そして、もう1台はN-ONEをベースに、ヒルクライム競技に参戦することを想定して手が加えられた「K-CLIMB(ケイクライム)」だ。スポーティなN-ONE RS(6速MT)をベースに、さらに走りを際立たせるカスタマイズが施されている。
まずはルックス。感のいい人はお気づきかもしれないが、往年の名車「シティブルドッグ」をイメージしたアレンジが施されている。フロントマスクのグリル形状や、角張ったブリスターフェンダー風にアレンジした専用デザインのオーバーフェンダーが、シティブルドッグのような姿を連想させる。
e-DRAG同様に、CFRP製のフロントグリル、前後バンパー、ノーマル形状のボンネットで軽量化を実施。
テールゲートスポイラーは、オリジナル形状のデザインに。純正プラスアルファのようだが、これだけでもかなりスポーティなルックスに生まれ変わっている。
前後のフェンダーは片側フロント15mm、リヤ12mmワイドに。軽自動車のコンパクトなボディサイズでも、これだけワイドになると印象もガラッと変わるから不思議である。足もとは、初代N-ONE Modulo X用の5J×15インチアルミホイールに変更している。
インテリアは、ダッシュボード非貫通タイプの6点式ロールバーを採用。ラゲッジスペースへの影響も最小限となっているので、日常使いも問題なくOK。新型N-ONEでのワンメイクレース用にも使えそうな完成度の高さだ。
競技では必須と言える4点式シートベルトも採用。コンセプトであるヒルクライムはもちろん、実際に発売されれば週末のサーキット走行にもピッタリな、じつに参考になる仕様と言えるだろう。
パワートレインは、e-DRAG同様に基本的にはノーマルだが、エキゾーストシステムはセンター2本出しのワンオフタイプに変更。これに合わせ、リヤバンパーも専用形状となっている。撮影時にエンジンを始動したが、走りを予感させる、軽自動車とは思えない迫力あるサウンドを奏でていたのが印象的だった。
両車を解説してきたが、残念ながらどちらもコンセプトモデルであり、現状は市販化などの予定はない。しかし、取材に応じてくれた開発陣は終始笑顔。まさに、自分たちが楽しまないでどうする? という気持ちがひしひしと伝わってきた。ドラッグレースとヒルクライムというふたつを選んだのも、「サーキット走行を想定では、当たり前で面白くないから」という思いが込められているから。何か変わったことを提案したい、そしてクルマをカスタマイズして走ることは楽しいんだ、ということをあらためて感じさせてくれる2台に仕立てられていた。
今回は、まだ開発中ということで試乗することは叶わなかった。しかし、これからもブラッシュアップさせるために開発は続くという。オンラインでの人気投票により、完成時のカラーリングも公開されている。ぜひ、完成して試乗できる日が来ることを願ってやまない。