昔の「カワイイ」は「カワイくない」! いまどき女子が好む「クルマのデザイン」とは (2/2ページ)

女子が「かわいい」と思うものは時代とともに変化している

 そしてもう1つ、女子の感性の変化が見て取れるのが、女子が「かわいい」と思うものが時代とともに変わりつつあるということ。というのも、少し前までは軽自動車で「女子向け」の代名詞的存在でもあったスズキ・アルトラパン。

 フランス語で「ウサギ」を意味する車名の通り、内外装のあちこちにウサギマークが隠されていたり、レトロかわいい内装などで人気を博し、なんとラパンオーナーの8割以上が女性というほどだったのですが、近ごろ女子に「かわいい」と人気なのはラパンではなく、同じスズキの軽自動車だとクロスオーバーSUVのハスラーになっています。

 確かにハスラーは、クリクリっとした丸目のヘッドライトが愛嬌があって、ペットみたいな可愛さのあるデザインです。でもそれだけでなく、その愛嬌のある顔と、どっしりとしたたくましさのあるSUVとの組み合わせがあってはじめて、女子に「かわいい」と思わせるのではないでしょうか。

 どちらかといえば、男性が守りたいと思うような可愛さだったラパンよりも、自分だけでどこへでも行けるアクティブさがありつつ、男勝りすぎず適度な女子っぽさもあるハスラーのほうが、現代女性に求められていると見てとれます。もはや、昔から男性が理想の女性像としていた「3歩下がってついてくるような可愛らしい女性像」は崩壊していると言っていいでしょう。

 メイクでもファッションでも、男子ウケを狙ってモリモリに頑張るのではなく、自分の長所を伸ばし、もっと自分らしくいられるためにメイクする、ファッションを選ぶ。その結果として男性にモテたら嬉しいなというのが、現代女性なのかもしれません。

 オフィスでのハイヒール着用、お茶出しの強要が疑問視されたり、生理休暇が当たり前になったりと、女性を取り巻く社会も少しずつ変わろうとしていますよね。クルマも、昔のように「女子にはピンク、キラキラ、かわいいキャラクターだろ」というような押し付けでは、もう見向きもされません。「現代女性のリアル」を真摯に見つめ、声を拾い上げて作るミラトコットのようなクルマが、これからも増えることを願います。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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